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2015年12月 8日

首都圏AM民放3局が“ワイドFM”放送開始

関東地方で中波の放送をしているTBSラジオと文化放送、ニッポン放送の3局(以下総称して“首都圏AM民放3局”といいます)が7日、FM補完放送、いわゆる“ワイドFM”の放送を開始しました。
午後0時55分に東京スカイツリーの展望デッキで火入れ式が行われ、午後1時に3局の社長がボタンを押し、中波とFMでの同時放送が開始されました。放送開始を記念して3局は3局共同の特別番組を放送しました。周波数はTBSラジオが90.5Mhz、文化放送が91.6Mhz、ニッポン放送が93Mhzで、高さおよそ500mの東京スカイツリーに設置された送信アンテナより、出力7kWで放送されます。
関東地方、特に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県の首都圏1都3県では、高層ビルが建ち並び、コンクリートの建造物の影響を受けやすいため、高層ビルやマンションなどで電波が遮られることによって中波ラジオが聞きにくくなる、いわゆる“都市型難聴”が発生しています。また、パソコンなど電子機器が普及し、これらの機器からも雑音が発生し、これもまた“都市型難聴”の要因となっています。さらに、3局の送信所は老朽化が進んでおり、平成23年3月に発生した東日本大震災のような、大規模な災害発生の際に送信所が被害を受け、的確に情報を伝えられなくなるおそれもあります。
こうしたことから総務省では、中波の放送局がFM波を使ってAM波の補完をできるように周波数を開放することになりました。平成23年7月までアナログテレビ放送の第1チャンネルに使用されていた90.1~94.9Mhzが使用されます。このため、これまでの90Mhzまでしか聞けないFMラジオ(特に車載型のラジオ)では、“ワイドFM”の放送は受信できません。海外のFM放送(108Mhzまで)が聴けるFMラジオが必要となります。
FM補完放送によって、クリアな音で番組を届けることができるようになりました。すでに昨年の12月に富山県の北日本放送と愛媛県の南海放送が“ワイドFM”の放送を開始したほか、全国各地で“ワイドFM”の放送が始まっています。
また、ワイドFMのもう一つの魅力は、ステレオ放送が可能になることです。首都圏AM民放3局は平成4年3月から、AM波でステレオ放送をお送りしてきました。しかし、平成10年代になって、ステレオ放送に必要な送出機器が生産終了となるなどの理由で、平成23年1月にTBSラジオが、平成24年2月に文化放送がサービス継続を断念、モノラル放送に切り替えました。現在もAM波でステレオ放送を続けている局は、ニッポン放送や愛知県のCBCラジオ、大阪府のラジオ大阪など数えるだけとなりました。インターネット同時配信でステレオ放送のサービスを提供していましたが、ワイドFMの開局により、首都圏AM民放3局は、かつてAM波で提供していたステレオ放送のサービスを、FM波で提供できるようになりました。また、AM波でステレオ放送のサービスを提供していなかった地方ラジオ局も、ステレオ放送のサービスが提供できるようになりました。特に来春からは、AMラジオ局の最大の収入源であるプロ野球ナイター中継が、迫力あるFMステレオ放送で楽しめるようになります。今後、東京キー局から地方放送局へ配信するネット回線のステレオ化という課題があります。
来年春には、関西広域圏のMBSラジオ、ABCラジオ、OBCラジオの3局、福岡県のRKBラジオとKBCラジオの2局が、さらには熊本県のRKKラジオや宮崎県のMRTラジオでもワイドFMの開局を予定しています。これらの放送局でも、かつてAM波で提供していたステレオ放送のサービスを、FM波で提供できるようになります。
東日本大震災の時に避難所などの生活情報を提供し、また復興への希望のメッセージを届け、災害に強い情報源としてその有用性が評価されたラジオ放送。長らく経営難にあえいでいた中波の放送局は、ワイドFMへの進出を機に巻き返しを図ろうとしています。また、これまで放送していた県域民放FMや市町村単位の小出力コミュニティFMに、中波の放送局が加わり、音質の良いFMバンドを舞台にしたラジオ局の競争が、ますます激しくなる“戦国時代”が、いよいよ幕を開けました。

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