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2014年6月12日

児童ポルノ規制強化法案が参議院へ

 18歳未満の青少年のわいせつな写真や画像などの単純所持を禁止する『児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律』改正案が4日の衆議院法務委員会、5日の衆議院本会議で自民党や公明党などの賛成多数で可決され、審議の舞台は参議院へと移っていきました。
 今回の改正内容は、いよいよ18歳未満の青少年のわいせつな写真や画像などの単純所持が禁止されること。これに加え、法律がスタートしたときから批判の多かった、児童ポルノの定義「衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であって性欲を興奮させまたは刺激するもの」に「殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり」が追加され、また、自己の性的好奇心を満たす目的での所持に対する罰則(最高懲役1年もしくは罰金100万円)の適用を1年猶予するというものです。また、附則として「漫画やアニメ、コンピューターグラフィックスなどへの規制範囲拡大への検討」が加えられるというものでした。
 この児童ポルノの規制をめぐっては、5年前から単純所持を禁止する規制強化のための法案が提出されていました。その頃、民主党の枝野幸男議員は、平成3年に出版された女優、宮沢りえさんのヌード写真集『Santa fe』をめぐり、宮沢さんが17歳だったころに撮影されたということにふれ、この写真集が児童ポルノに当たるのかという発言をしました。これに対し、自民党の葉梨康弘議員(元警察庁官僚)が「メール、郵便、FAX、いかなる手段で児童ポルノを所持していても逮捕する。」「映画、出版物、大女優だろうと関係ない、今までの映画も本も写真も18歳以下のヌードなら全部捨てるように!」「宮沢りえのサンタフェでも、法改正後は捨てないと逮捕する!」「ジャニーズでも乳首が写っていたら児童ポルノだ」などと発言したということで話題になりました。
 その後、衆院選で民主党が政権を奪取しますが、平成23年3月の東日本大震災、そして東京電力福島第1原発の事故で、民主党政権の対応のまずさがうきぼりになり、2年前の衆院選では、自民党の圧勝、そして民主党の惨敗という結果となり、自民・公明両党がふたたび政権を奪還、そして昨年7月の参院選では、参議院でも自民・公明両党が過半数を占め、いわゆる“ねじれ”を解消しました。その間も、インターネット、特にスマートフォンの普及が進み、インターネット上での児童ポルノ流通が増加、被害に遭う児童も増加し、そのため、単純所持を禁止するなど規制強化のため、早期の法律改正が求められていました。
 今回、自民党、公明党、日本維新の会、民主党、結いの会の5党が、前述の改正内容について同意したため、衆議院法務委員会の委員長の提案で、「漫画やアニメ、コンピューターグラフィックスなどへの規制範囲拡大への検討」を撤廃した上で、4日に委員会可決、5日に本会議可決され、審議の舞台は参議院へと移っていきました。
 これから参議院法務委員会での審議に入る予定ですが、それでも、“児童ポルノの定義”には不満があります。問題となっている定義の第3号は、「衣服の全部または一部を着けない児童の姿態であり、殊更に児童の性的な部位(性器等若しくはその周辺部、臀部又は胸部をいう。)が露出され又は強調されているものであり、かつ、性欲を興奮させまたは刺激するもの。」という文言に改正しようとしています。それでも、まだ不十分と言えます。
 この『児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律』が施行された平成11年10月までは、18歳未満のタレントの裸体写真が載った写真集や雑誌などが多数刊行されていました。その代表的な例として、宮沢りえさん(当時17歳)の『Santa fe』、栗山千明さん(当時11歳)の『神話少女』、また、清岡純子さんや近藤昌良さんなどの写真家が思春期の女の子を被写体にして撮影したヌード写真集も多数刊行されています。こうした写真集・雑誌などが麻薬・覚せい剤と同じ扱いをされれば、宮沢りえさんも、栗山千明さんも、大きな迷惑をかけることとなりイメージダウンにもつながります。欧米では、児童の性行為もしくはこれに類似する行為を撮影した写真もしくは動画が規制の対象になっていて、乳首を露出したソフトヌードや水着・レオタード程度では“セーフ”だといいます。これは、私でも理解できますが、18歳未満のタレントの裸体写真が載った写真集や雑誌などを持っているだけで犯罪として取り扱うのは乱暴だと思います。もちろん、出版界からも反対意見が続出しています。
 また、4日の法務委員会審議で、日本維新の会の高橋みほ議員は、現在18歳未満としている“児童の定義”を13歳未満に引き下げることが望ましいと指摘もしています。私も同感です。近年では小学校3~4年生のころから胸が膨らみはじめるケースもあり、高校生の女の子は立派な体格になっているからです。
 現在、国会では圧倒的な勢力を背景に安倍政権が、憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使を容認したり、一定の年収がある労働者を対象に残業手当ゼロとする働き方を新たに設けるなどの労働規制改革を進めるなど猛威をふるっています。衆参両院とも“自民党の1強多弱”といわれ壁は厚いと思われますが、参議院法務委員会での審議では、出版業界や法律学者などからも意見を十分聞き、論議が尽くされるよう求めます。特にいわゆる“3号ポルノ”の規制撤廃と、反対派の山田太郎議員(みんなの党)の奮闘に期待します!

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