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2012年1月28日

韓国の“アイドルスター大運動会”

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150人のアイドルタレントが参加した『第4回MBCアイドルスター陸上水泳選手権大会』の開幕式(1月8日、ソウル市・蚕室(チャムシル)室内体育館) 

韓国では沖縄同様、旧暦で正月と盆をやります。
その韓国には、韓国最大の民間放送、韓国文化放送(以下“MBC”といいます)があります。日本にも、“文化放送”という名前の放送局が東京にありますが、こちらはラジオ単営局。MBCは、地上デジタルテレビのほか、中波ラジオ、FMラジオ、デジタルマルチメディア放送の4つの電波を運営しています。
そのMBCが、現在の日本では考えられない『アイドルスター陸上水泳選手権大会』というテレビ番組を開催しました。
韓国の人気アイドルタレントが一堂に集結し、陸上競技や水泳にしのぎを削るというもので、平成22年(2010年)の旧盆に第1回大会が開催され、以後毎年夏(旧盆)と冬(旧正月)の年2回開催されています。大会は、夏の大会がソウル市の蚕室(チャムシル)陸上競技場(14年前のソウル五輪のオリンピックスタジアムになった競技場)で陸上競技のみ、冬の大会がソウル市内の室内温水プールでの水泳競技と、体育館での陸上競技が行われます。第4回の今回は、1月7日に水泳競技が非公開で収録、8日にソウル市の蚕室(チャムシル)室内体育館で陸上競技が公開収録され、24日の5:15PMから韓国全土で放送されました。
私は日本、それも沖縄に住んでいるために番組を見ることができませんでしたが、インターネットで情報を拾ったところでは、今回の大会は約150人ものアイドルタレントが13チームに分かれて参加(最も人気の高い少女時代やKARAは出場していません)、水泳競技では、ガールズアイドルグループの“Rainbow”が昨年に続きシンクロナイズドスイミングを披露したという話も聞かれます。結果は、2チームが同点優勝したそうです。
番組を開催したMBCは、日本のFUJI-TVと友好関係があり、東京・台場のFUJI-TVの社屋内にMBCの日本支局を、ソウルのMBCの社屋内にFUJI-TVの韓国支局を相互に設置しており、ニュース素材の交換などが行われています。その日本のFUJI-TVでも、その昔、芸能人による水泳大会や運動会などを開催したことがありました。
FUJI-TVにはかつて、毎週火曜日の7:30PMに1時間23分の常設スペシャル番組『火曜ワイドスペシャル』がありました。(現在でも同タイトルの番組が7:00PMから1時間54分で放送されていますが、コンセプトが異なります。)月1回組まれるザ・ドリフターズ主演のバラエティ『ドリフ大爆笑』(現在もこの番組はCS放送の“ファミリー劇場”で見ることができます)を中心に、年間を通して四季折々の娯楽番組を届けてきました。その中に、芸能人水泳大会と芸能人運動会が、それぞれ年2回ずつ組まれていました。
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今から約30年前、日本のテレビではアイドル歌手が水着姿になって競泳や水上ゲームにしのぎを削る“芸能人水泳大会”が放送されていた。上記の画像4枚とも昭和55年(1980年)の夏の大会。((c)1980 FUJI-TV)
芸能人水泳大会は、おおむね2月と7月に組まれ、神奈川県中郡にある大磯ロングビーチ(冬の大会はその敷地内の室内温水プール)を舞台に、当時人気を誇ったアイドル歌手が紅組と白組に分かれ、水上ゲームや競泳などにしのぎを削ったもので、アイドル歌手が水着姿で持ち歌を披露するというのもありました。一方で、水上騎馬戦の際に、ビキニ姿の女の子が、ビキニのブラをはがされ乳首が露出という不健全なシーンもあり、PTAからクレームも受けたこともありました。
芸能人運動会はおおむね5月と10月に組まれ、主として東京都体育館で開催され、これも当時人気を誇ったアイドル歌手が紅組と白組に分かれ、陸上競技にしのぎを削りました。ランニングにブルマーというセクシーなスタイルの女性アイドル歌手に、当時の若者たちの視線が集まりました。
芸能人水泳大会と芸能人運動会は、1970年代から80年代にかけてのアイドル全盛期の人気番組でした。陸上競技と水泳競技を通して、ふだんの歌番組では見られない歌手の変わった側面を見ることができました。しかし、芸能人運動会は昭和60年(1985年)に廃止、芸能人水泳大会も昭和62年(1987年)から女性アイドル中心の大会となりましたが、アイドルの多様化や構造的な変化もあり、平成6年(1994年)には夏の大会が廃止、冬の大会も平成10年(1998年)を最後に姿を消しました。
また、FUJI-TVには、正月に芸能人がかくし芸を披露する、渡辺プロダクションと共同制作の娯楽番組『新春かくし芸大会』という番組もありましたが、視聴率の低迷や番組制作費の削減などを理由に平成22年(2010年)を最後に47年間の歴史に幕を閉じました。
こうした芸能人水泳大会と芸能人運動会は、出場するタレントが100名を超えます。昔は番組の趣旨を理解する提供スポンサーがついていたからこそできましたが、テレビ放送が完全デジタル化され、ハイビジョンのきれいな映像が標準テレビ方式となった現在では、提供スポンサーがつきにくく、番組制作費の確保もままならず、さらにアイドルタレントの数も限られ、番組を企画することが難しくなりました。
現在の日本の民放テレビ各局のバラエティ番組では、VTR素材が流れている間に画面の隅に、スタジオ出演のタレントがVTRを見ている表情が小画面で映し出され、画面の左上、右上には常時スーパーが表示され、そして盛り上がってきたところで突然CMに入り、90~120秒間のCMが終わるとCMに入る数十秒前のところから再開するという“山場CM”というのも多くなっています。毎年4月、10月の番組改編期や年末年始には、通常1時間で放送しているバラエティ番組が2時間スペシャルとして組まれていましたが、最近では4時間を超えるスペシャル番組も多く組まれるようになったり、改編期以外の時期にも、時期を見て2時間スペシャルを組まれるようになりました。これも、提供スポンサーがつきにくくなり、番組制作費も削減されているのがその理由で、毎週決まった曜日・時間帯に1時間のバラエティ番組を組むのが困難になり、近い将来、すべての曜日で7:00~9:00PMの時間帯が2時間の常設スペシャル番組となり、曜日ごとに隔週2時間、月1回2時間といった形式のバラエティ番組になることも予想されます。
韓国では、ニュースやスポーツ、ドラマ、バラエティなど、民間放送で放送されるすべてのテレビ番組では、番組本編中にCMをはさむことはできません。CMは、番組本編の前後にまとめて放送されます。日本での盛り上がってきたところで突然CMに入ることや、番組途中で提供クレジットが入るということも、韓国ではありません。視聴者は安心してテレビ番組を楽しむことができます。
私が小中学生だった頃は、アイドル全盛期でした。1980年代、テレビではアイドルタレントが歌番組やドラマに出ているのをよく見ました。しかし、現在、ドラマやバラエティ番組に出ているアイドルタレントは、男性が嵐やSMAPなどジャニーズ事務所所属のタレントが、女性がAKB48を中心とした多人数グループアイドルが主流となっています。
今でも『懐かしいアイドルの写真帳』など昔の80年代アイドル関連の画像サイトを見ますが、あの頃はかわいらしいアイドルタレントがいっぱいいただけに、私も彼女たちのようなタイプの女性と結婚したかった思いを抱いていましたが、それも叶わぬ夢でした。
1970年代から80年代にかけてのアイドル全盛期に、芸能人水泳大会と芸能人運動会を放送してきたFUJI-TVも、現在は平日の午後の時間帯に関東地方向けに韓国ドラマを放送するようになり、視聴者の間では、FUJI-TVに対し“韓流批判”をする視聴者も多く、東京・台場にあるFUJI-TVの本社でデモを行う団体も多くなりました。その昔視聴者の人気を集めた芸能人水泳大会と芸能人運動会のノウハウを、友好関係にある韓国文化放送にもっていかれてしまいました。日本のテレビ番組(とりわけ民間放送の番組)の質が、著しく低下していったことを、ひしひしと感じています。韓国人の目に日本のテレビのバラエティ番組がどのように見られているのか、おそらく、つまらない、くだらないという感想が返ってくるものと思います。
私は、今回の韓国のアイドルスターの水泳大会・運動会の話題を聞いて、日本の芸能界の国際競争力が低下していったということを感じさせられました。残念です。
ちなみに、次回の『第5回MBCアイドルスター陸上選手権大会』は、陸上競技のみの大会となり、旧盆に当たる9月1日前後に放送される予定だとか。

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2012年1月 1日

2012年のはじまりもまた『紅白』の感想から

新年あけましておめでとうございます。
穏やかな新年をお迎えのことと思います。
旧年中は多忙のため、このブログ更新が少なくなっていました。毎度のことお詫び申し上げます。
今年は沖縄が祖国に復帰して40年。しかし、米軍普天間基地の名護市辺野古への移転問題で今年もまた揺れる一年になると思われます。
そして今年の7月には英国のロンドンで『第30回オリンピック競技大会』が開催され、多くのスポーツの感動が期待されます。

前置きはこれくらいにして、今年もまた新年最初はきのうの『第62回NHK紅白歌合戦』の感想から始めます。
きのうの大晦日にNHKホールから生放送された『第62回NHK紅白歌合戦』、みなさんはご覧になられましたか?
ご存じのように昨年の3月11日に東北地方の太平洋岸を震源とするマグニチュード9の大地震が発生、これによって最大38mもの大津波が太平洋沿岸の街を襲い、約2万人もの死者・行方不明者を出す大震災が発生、さらに大津波の被害を受けた東京電力福島第一原発の大規模な事故で原発周辺の多くの住民が避難を余儀なくされました。
また、9月には台風12号が奈良県の山間部を襲い、深層崩壊による山崩れを起こし、ここでも多くの住民が家や尊い命を奪われました。
NHKではこの大規模な災害の報道に全力を挙げて取り組みました。また、震災直後にはEテレとFMラジオで安否情報を流し、震災報道が落ち着いた後も東日本大震災の被災者がかけがえのない家族や住まいなどを失った悲しみを乗り越え、復興していく姿を『NHKスペシャル』などの番組で放送しています。
音楽番組の制作にあたるスタッフもまた、東日本大震災の被災者を元気づける番組作りに取り組みました。3月11日の震災直後、予定されていた通常の音楽番組の放送を取りやめ、人気アーチストからの励ましのメッセージと歌で構成した『歌でつなごう~被災地の皆さんへ』という3分間のショートプログラム全24本を制作、震災報道番組の合間に放送しました。また、5月3日には『歌でつなごう~今あなたに歌いたい』と題しての音楽特集番組を制作、これに際してスタッフは被災地に足を運び元気にがんばっている子供たちを取材し、歌の合間に番組で紹介しました。そして、ニュース番組でも話題になった、仙台市立八軒中学校の吹奏楽・合唱部の『明日という日が』の合唱で番組を結びました。
被災者はもとより国民を元気づける番組作りのこの一年の集大成が『紅白歌合戦』です。
昨年の紅白は、白組の司会が昨年に続きジャニーズ事務所所属のアイドルグループ、嵐、紅組の司会が連続テレビ小説『おひさま』のヒロインを演じた女優の井上真央さんでした。
番組には55組の歌手が出演、その1人1組が、この1年の集大成の歌声を披露してくれました。
昨年の紅白は、東日本大震災の復興という意味合いから“あしたを歌おう”をテーマにした歌の祭典が組み立てられました。「歌の力で、私たちの力で、あしたを歌おう!」と、両軍の司会者が開幕を告げた後に流されたオープニングテーマ曲『1231』は、宮城県出身の作曲家、菅野よう子さんが番組のために書き下ろしました。
出場歌手の中には、千昌夫さんや西田敏行さんのほか、福島県のバンド“猪苗代湖ズ”といった東北出身の歌手もいました。それぞれが、被災地の復興を望み、熱唱しました。
藤あや子さんと細川たかしさんのところでは、青森のねぶたや秋田の竿灯など、東北の祭りに携わる関係者が出演して盛り上げました。
両軍の司会者がプレゼンターとなった東北応援企画を用意。井上真央さんは、写真家の小林紀晴さんが3月11日に生まれた赤ちゃんを探し歩き、そのときに撮影した写真を見た彼女が、宮城県の赤ちゃんとその家族に会いに行ったときの様子を彼女のナレーション入りのVTRで紹介しました。嵐は、福島県のある中学校の体育館で長年使われ、卒業式の直後に津波で破壊され、地元のピアノ業者が慎重に修理を施し、見事に音がよみがえったピアノを借り、ステージで嵐の櫻井翔さんが演奏する中、一昨年の紅白で歌い好評だった特別企画曲『ふるさと』を歌い上げました。
また、海外からは、ジャッキー・チェンさんやレディー・ガガさんもVTRでメッセージを寄せてくれました。
このように、昨年の紅白は、東北大震災被災地の復興を祈るための意味合いの大きかった紅白でした。
そして『紅白歌合戦』もうひとつの柱は、NHK全体が“公共放送”としてのこの一年の取り組みの集大成を、NHKホールで大型の音楽番組として示し、その評価を紅組、白組どちらがよかったかを簡単な方法で視聴者の皆さんに問うというものです。
また、番組では初めての試みとして、紅組司会の井上真央さんが着る衣装のデザインを公募しました。1341通の応募の中から、番組が審査をした結果、桜色と絆を表現するバックのリボンをモチーフにした、群馬県の園田麻衣さんのデザインが選ばれました。園田さんは「被災地の、また日本の復興を願って、春にはすべての人が美しい桜を目にすることができますように。」という思いを衣装デザインにしたということです。井上さんは、午後10時台の中で約40分間この衣装を着用しました。
さらに番組では“紅白応援・あしたへのメッセージ”と称して、視聴者から出場歌手へのメッセージを放送当日の正午まで募集、番組ホームページのほか、番組内でも随時紹介しました。このように、『紅白歌合戦』は、視聴者とともに楽しむ音楽番組を目指しました。
4時間半にわたる歌の祭典の視聴者の評価は、井上真央さん率いる紅組に軍配を上げました。7年ぶり、視聴者投票が導入されてからでは初めての紅組勝利です。紅組は、AKB48の姉妹グループを含めた210人のステージをはじめ、韓国からの少女時代、KARA、松田聖子さん、神田沙也加さん親子の東京体育館からの『上を向いて歩こう』の熱唱、松任谷由実さんの『(みんなの)春よ、来い』の大学の合唱団をしたがえてのステージ、そして私が最もよかった、椎名林檎さんの『カーネーション』に続く、軽快なジャズのリズムに乗せた「女の子は誰でも」で迫力あるステージを見せてくれました。私は椎名さんのステージを評価し、紅組に1票を入れさせていただきました。逆に白組は、長渕剛さんが被災地・宮城県石巻市の小学校の校庭からの中継歌唱や、SMAPが大トリのステージで客席まで降りて一体感を演出しましたが及びませんでした。
地震や津波などの自然災害の報道に的確に対応し、国民の皆さんに災害情報をいち早く知らせ、また、被災地の様子や復興に取り組む人々の様子を伝えるだけではなく、音楽・娯楽番組を通して被災者をはじめ国民を元気づけるというのもまた、“公共放送・NHK”の使命です。東京の放送センターだけでなく、全国に散らばって地域のニュースを発信したり、地域密着の番組を作るアナウンサーやスタッフもまた公共放送に携わる者としての使命を背負っています。NHKの被災者の心の復興に資する音楽・娯楽番組制作への取り組みは今年も続きます。
なお、この『第62回NHK紅白歌合戦』は、きょう午後2時頃から15日まで、“NHKオンデマンド番組配信サービス”でもご覧になれます。詳しくはこちら

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