« 2011年4月 | トップページ | 2011年6月 »

2011年5月26日

「アタックチャンス!」よ永遠に-児玉清さんの追悼番組を見て

桂三枝さんの『新婚さんいらっしゃい!』と並ぶANN系列日曜日の昼下がりの名物番組『パネルクイズ・アタック25』(以下「アタック25」といいます))の司会者だった俳優の児玉清さんが、5月16日の午後、東京都内の病院で胃ガンのため亡くなりました。77歳でした。
その児玉清さんの追悼番組(朝日放送制作)が22日に放送されたのを見ました。
番組は前半で俳優としての児玉さんの、後半で『アタック25』の司会者としての児玉さんの足跡を偲ぶという構成になっていました。
俳優としては10年前にFUJI-TVのドラマ『HERO』で木村拓哉さんの父親役、また、昨年はNHKの大河ドラマ『龍馬伝』で福山雅治さん扮する坂本龍馬の父親役を演ずるなど、俳優として幅広く活躍。一方で、読書家としても知られ、また、切り絵を趣味にされ、その切り絵は、平成20年3月に撤退するまで『アタック25』の提供スポンサーを務めた大手インテリアメーカーの東リが製品化するほどでした。VTR出演した福山雅治さんは「父親のような存在だった。地元・長崎の名産“びわゼリー”をオーダーするほど気遣いのある名優だった。」と語っていました。
2年前から出題を担当しているABCの加藤明子アナウンサーは11日、番組プロデューサーでもある岩城正良テレビ制作部長らと一緒に、東京都内の病院に入院中の児玉さんを見舞いました。児玉さんは加藤さんに末期の胃がんであり、これが肝臓に転移していたことを告げました。また「去年の10月に胃カメラをのんでおけばよかったんだよね」と、漏らしていました。
後半では『アタック25』の司会者としての児玉さんにふれていました。
『パネルクイズ・アタック25』は、ABCがANN系列局として新たなスタートを切った昭和50年4月6日にスタートしました。この年は沖縄県国頭郡本部町で沖縄国際海洋博覧会が行われた年でもありました。また、オイルショックのさなかで日本経済が低迷している時期でもありました。
番組は、4人の一般解答者が早押しクイズで25枚のパネルを取り合うパネルの争奪戦。一番多くパネルをとった人が最後のVTRクイズに挑戦し正解したら憧れのパリへの旅行(現在はエーゲ海クルーズの旅)を獲得するというものです。
追悼番組では、児玉さんのテンポある司会ぶりや、「結構」「正解」「その通り」「2問のご辛抱、3人でこの問題。」といった語録、そして番組名物の「アタックチャンス!」のポーズの歴史も紹介されました。また、番組収録の合間に、解答者や解答者席の後ろに陣取る応援団のみなさんに飴玉を配るという児玉さんの心遣いや、昭和50年7月に放送された初めての芸能人大会で優勝した俳優の石坂浩二さんへのインタビューもVTRで紹介されました。
4人の一般解答者が早押しクイズで25枚のパネルを取り合うパネルの争奪戦。そしてそれをスピーディーなテンポで進行させる児玉さん。それはまさにドラマであり、解答者が主役で児玉さんは脇役といった構図が伺えます。昭和60年にABCでは『三枝の国盗りゲーム』『世界一周双六ゲーム』、そして東京からのネット番組『クイズ・タイムショック』と、視聴者参加クイズ番組がそろって姿を消していき、現在ゴールデンタイムでは芸能人が参加するクイズ番組が多くなっていく中で、テレビの古きよき時代のままで作られている『アタック25』。この番組がここまで生き残れたのは、放送時間が日曜日の昼下がりであることや、知性的な俳優である児玉さんの司会振りが世代を超えて愛されてきたものといえるでしょう。
最後に山下毅雄さん作曲の番組テーマソングが流れる中、25枚のパネルすべてが児玉さんの25面相で埋められた後、児玉さん最後の出演回となった4月10日放送回での“最後のアタックチャンス”のシーンでフィニッシュを決めました。まさに番組スタッフが36年間にわたる児玉さんへの長年の功労が伺え、また愛情のこもった作り方の追悼番組でした。
『必殺仕事人』の中村主水役で人気を集めた俳優の藤田まことさんが昨年2月に死去したのに続いて、ABCテレビの大功労者であった児玉清さんが他界しました。そしてこの追悼番組の放送前日には、児玉さんと同じ年に生まれた俳優の長門裕之さんもこの世を去りました。おりしも今年、ABCは創立60周年。そして今年7月24日には、昭和31年12月の開局以来54年8ヶ月間にわたって数々の忘れがたき思い出を発信してきたVHF6チャンネルでのアナログテレビ放送の歴史が終わろうとしています。この『アタック25』も、児玉さんの死とテレビの完全デジタル化を機に、本格的デジタル放送時代に見合った新しいクイズ番組に生まれ変わってもいいのではと思います。
36年の長きに渡り、『新婚さんいらっしゃい!』の桂三枝さんとともに日曜日の昼下がりの茶の間をにぎわせた児玉清さんの司会ぶりは、テレビのアナログ放送終了を前にもう見られなくなってしまいましたが、29日からは、それまで代役だったABCの浦川泰幸アナウンサーさんの司会で、いつもの『アタック25』が始まります。その前に、追悼番組の中でその一部分が“NHKからの提供映像”として紹介されていたNHK大河ドラマ『龍馬伝』の昨年2月14日放送の第7話『遥かなるヌーヨーカー』が、NHKGテレで午前10:05からの『とっておきサンデー』の番組内で再放送されことになりました。今度の日曜日、新たなスタートを切る『アタック25』を見る前に、福山龍馬と児玉清さんの海辺での別れのシーンをもう一度ご覧ください。
知的でテンポのある司会、そして紳士的で優しい心の持ち主だった児玉清さん。彼のような名司会者はおそらく出てこないと思います。
改めて、児玉清さんのご冥福をお祈りします。そして、チバリヨー!浦川泰幸!!

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2011年4月 | トップページ | 2011年6月 »