クイズ番組あれこれ(後編)
前編では先日のアンケート結果に基づいてクイズ番組の話をしましたが、ここで私の好きなクイズ番組の話をします。
私の好きなクイズ番組は、ANN系列で3ヶ月に1度放送される『クイズ・タイムショック』です。
この番組は、24人の芸能人が4つのブロックに別れて1分間で12問の一問一答形式のクイズに挑戦するトーナメント形式のクイズ番組です。最初に各ブロックごとに6人一斉に行うタイムショッククイズをしたあと、学校の教科書に基づくタイムショッククイズに挑戦します。教科書タイムショックでは、6人一斉タイムショックの成績のよい人から順に教科を選ぶことができます。成績の悪かった人から順に解答者のいすに座り、タイムショックを行い、出された12問中6問できなかったら“トルネードスピン”といって、3mの高さまでリフトアップされた解答者のいすが縦横に回るというお仕置きを受けます。このうち1つのグループは“トゥエルヴ・アンサーズ”といって、ある1つの問題に対し12の答えを答えさせる問題を出されます。当然6つ答えられなかったらトルネードスピン。このようにして正解数の多い1人が準決勝に進出します。
準決勝はおなじみの元祖で正真正銘のタイムショック問題。あらかじめ抽選で組み合わせを決める1対1での真剣勝負。対戦ごとに正解数の多い1人が決勝に進出します。この2人と、敗者復活早押しクイズで勝ち上がった1人の計3人が決勝戦に臨みます。決勝は、陸上の走り高跳びのようにクリア基準がアップする“サバイバルタイムショック”。1回クリアするたびに7問、8問、9問とアップしていき、クリアできなかったらトルネードスピンを食らい脱落となり、最後まで残った人が優勝します。前回(1月4日放送)は、木村健太郎さんが優勝しました。
最近はやりの芸能人クイズ番組では、珍答続出で笑わせるバラエティっぽい番組が多いのですが、この番組はまさに“真剣勝負”そして“1分間12問のクイズを立て続けに出題する”歴史のあるクイズ番組。なかでも決勝の“サバイバルタイムショック”は、7問、8問、9問と走り高跳びのようにバーの高さが上がり、クリアできなかったらトルネードスピンというところに、魅力があります。そしてもう一つは、かつての田宮二郎さん、山口崇さんが司会を務めていたときと同じく、矢島正明さんのナレーションによる出題です。それなので私はこの番組が一番好きです。
この『クイズ・タイムショック』には、トルネードスピンをめぐるエピソードがあります。
大泉滉(あきら)さん。山口崇さんが司会を務めた時代(昭和53年10月~61年3月)に6回出場、そのうち5回で正解3問以下となり椅子を回したというエピソードがありました。700回記念、800回記念、そして山口さん司会の最終回となった昭和61年3月27日の放送でもゲストに呼ばれましたが、いずれも出された12問中4問できずにいすを回してしまいました。大泉滉さんは平成10年4月23日、肺癌のため73歳でなくなりました。
飯島愛さん。彼女も『芸能人10対10バトルロワイヤル・スペシャル』といって20人の芸能人が2チームに分かれて賞金積み立てリレー方式のタイムショッククイズを戦うときに、山田邦子チームの1人として出場しましたが、平成13年の放送で1850万円を背負いながら5問しかできずにトルネードスピンを食らって積み立てられた賞金を没収され、平成14年の放送でも2問しか正解できずにトルネードスピンを食らい1750万円を没収され、この2回のトルネードで合計3600万円を没収されるというエピソードがありました。平成15年2月の放送で飯島さんは、1700万円を背負いながら7問正解、その後光浦靖子さんが9問正解して山田邦子チームの2000万円獲得を決めました。飯島愛さんは昨年の12月24日、肺炎のため36歳の若さでなくなりました。
そして宮本隆治さん。前回、今年1月4日の放送に『クイズ・タイムショック』から出場者としてお呼びがかかった元NHKアナウンサーの宮本さん。NHK時代、『歌謡コンサート』や『紅白歌合戦』の司会者として知られた宮本さんも、NHK退職後、オリエンタルラジオさんのバラエティ番組に出演していたものの、フリーアナウンサーのリストラでレギュラー番組を失っていた矢先に教科書タイムショックに挑戦。宮本さんは体育の問題に挑戦しましたが出された12問中4問しか正解できずにトルネードスピンの憂き目に。さすがの宮本さんも、司会の中山秀征さんをはじめ出場者一同の大恥をかいたとか。
果たして次回はどんなエピソードが生まれるのでしょうか。次回の放送はあす3月31日、午後7:00からです。
ところで、芸能人が出場するクイズ番組がたくさんある中で、視聴者の皆さんの中には、視聴者参加のクイズ番組が少ないという不満をお持ちの方も多くいらっしゃるかと思います。
昔は先述の『クイズ・タイムショック』のほか、JNN系列に『ベルトクイズQ&Q』『アップダウンクイズ』、FNN系列に『クイズ・グランプリ』など視聴者参加のクイズ番組がたくさんありました。その後、一部のクイズ荒らしなどもあり、視聴率も低迷したことから、1980年代にほとんどが姿を消し、現在、視聴者参加のクイズ番組は、ANN系列で毎週日曜日、午後1:25から放送の『パネルクイズ・アタック25』のみ。児玉清さんの司会により34年間続く正統派クイズ番組の代表的番組です。
BSデジタル放送にも、家庭にいながらにして全国の視聴者とクイズを競うことができる双方向クイズ番組が、かつてありました。平成12年から4年間放送されたP&G提供の双方向クイズ番組『TIME OVER』でした。
この番組には、毎週1人のタレントがゲスト出演し、そのタレントといっしょに、茶の間にいながらにして、毎年春と秋の年2回JNN系列の地上波で放送される『オールスター大感謝祭』(この春も4月4日の午後6:30から5時間17分にわたり放送されます!)のような4択クイズや、神経衰弱などのゲームで、全国の視聴者と競う、BSデジタル放送ならではの双方向機能を活用したクイズ番組でした。ゲストタレントや全国の視聴者とクイズで勝負でき、また家族そろって楽しめるとあって、毎週36,000組を超える参加者がありました。
この『TIME OVER』が放送されるのは土曜日の午後9:00。それが終わると引き続き午後10:00からNHK Hi-Visionで『地球ゴーラウンド』という双方向クイズ番組があり、土曜日の夜に2つの双方向クイズ番組を楽しむことができました。
しかし、平成15年7月、スポンサーのP&Gが行ったインフォマーシャルクイズに参加した視聴者10,868人の個人情報が記載されたデータCD-ROMを外部流出したことが判明、その上番組のシステム自体、個人情報保護法に適合しない状況となったことから、平成17年3月、惜しまれながら廃止。その後、番組を放送していたBS-iも双方向サービスから撤退しました。
現在、BSデジタル放送で放送されている双方向クイズ番組は、NHK Hi-Visionの『双方向クイズ・にっぽん力』だけ。それも月1回、毎月最終土曜日の午後10:00からの番組です。民放系BSデジタル放送が相次いで撤退していったのが非常に寂しい限りです。
なお、『TIME OVER』を放送していたBS-iですが、あさって4月1日に親会社のTBSが最後まで残っていたテレビ放送事業を切り離して純粋持ち株会社になるのに伴い、放送局名が“BS-TBS”に変わります。また、会社名としても“BS-TBS”となります。
地上波、BSのアナログ放送も、あと2年4ヶ月で終わり、デジタル放送へ完全移行しようとしています。その中で若者を中心にテレビ離れが進んでいます。
今後、民放各局に求められるのは、『TIME OVER』のような、茶の間にいながらにして、スタジオのゲストタレントや全国の視聴者と競う、双方向のクイズ番組だと思います。アナログからデジタルへの“放送世変わり”が進む中、芸能人だけが楽しむようなクイズ番組だけ流しては視聴者のテレビ離れに拍車をかけるだけです。デジタル放送の双方向性をフルに発揮できる双方向のクイズ番組こそが、視聴者を呼び戻すキラーコンテンツになると思います。しかし、個人情報保護や昨今の世界的大不況で広告収入がままならない中、双方向クイズ番組が実現するには、まだまだ解決しなければならないハードルがあるのでしょうか。


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