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2008年9月 8日

北京五輪総決算

19日間にわたり中国・北京の地で熱戦を繰り広げてきた『第29回オリンピック夏季競技大会』(以下『北京五輪』といいます)が、8月24日に閉幕しました。
この期間中に実施したアンケート結果を交えながら、私としての雑感を話させていただきます。
今大会で日本選手が獲得したメダルは、金メダルが打倒米国を果たし悲願の初優勝を成し遂げた女子ソフトボールチームや、2大会連続で100m、200mの2種目制覇の偉業を成し遂げた競泳・男子平泳ぎの北島康介選手など9個、銀メダルが中国の前に2連覇を阻まれたものの銀メダルを獲得した男子体操の団体チームや、フェンシングで日本史上初のメダリストとなった太田雄貴選手など6個、銅メダルが3連覇こそならなかったものの5大会連続のメダル獲得となった柔道48㎏級の谷亮子選手や、絶妙のバトンパスで80年ぶりに陸上トラック競技でのメダル獲得となった男子400mリレーの日本チームなど10個、合わせて25個となりました。
日本選手団は、10個の金メダルを目標にしていましたが9個にとどまりました。その理由として、体操の男子団体の2連覇を阻んだのに代表されるように、開催国の中国が地元での五輪開催のために、国を挙げて選手強化に取り組み、その結果51個もの金メダルを獲得したことにあると分析しています。
日本でも、東京にナショナルトレーニングセンターを建設して選手強化に最適な環境を整備し、また日本五輪委員会でも大手広告代理店を通じてシンボルアスリート制度としてパナソニックやロッテなどの五輪関連スポンサー企業に、広告にシンボルアスリートを起用することを認め、そのギャラを選手強化費用に当てています。日本の年間選手強化費用が40億円に対し、中国は日本の12倍、480億円をかけています。しかも、すべて国家予算。また、外国からコーチを招聘し、日本でシンクロナイズとスイミングのコーチだった井村雅代さんもその一人でした。こうした国挙げての取り組みで、51個の金メダルという結果となったわけです。
また、9個の金メダルのうち7個はアテネ五輪に続く連覇でした。このうち北島康介選手は今回の北京五輪を最後に第一線から身を引くと表明しています。また、男子団体総合で銀メダルを獲得した体操の男子チームにも、鹿島・富田、そして代表チームから外れた塚原などが、年齢の上からもロンドンは無理という声が出ています。4年後のロンドン五輪に向け、北島や鹿島・富田などに次ぐ新しいヒーローが登場することが期待されます。
そんな中で、体操で24年ぶりに個人総合のメダルを獲得した内村康平選手は、あん馬で23位でのスタートから、ライバル選手の相次ぐミスを尻目に一気に抜き去り、銀メダルを獲得しました。この銀メダルが“ロンドンへの栄光の架け橋“になることを期待しましょう。
さて、アンケートの結果に行きます。
Q1.「北京五輪と高校野球、どちらに関心がありますか?」については
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「高校野球」が「北京五輪」を上回りました。今回の北京五輪は、開催前にチベット問題や四川大地震があり、大会運営の大きな混乱や、テロなどの妨害行為が懸念されていました。そのためか、日本国内の高校野球に関心が多かったようです。
Q2.「北京五輪をテレビで見るとしたら主としてどちらでご覧になりますか?」については、
2
やはり「NHK総合テレビ」という回答が多いようです。NHKは、公共放送ですので競技の模様を淡々と伝える中で、視聴者からもFAXや電子メールで応援メッセージを受け付け、それを中継の合間に放送しており、視聴者との一体感のあった放送が好感されました。
これに対し民間放送は、人気タレントをキャスターに起用して視聴率稼ぎをねらいました。NIHON-TVの櫻井翔さん、明石家さんまさん、TV-ASAHIの松岡修造さん、TBS-TVの中居正広さん、FUJI-TVは元東京スワローズ監督の古田敦也さんと女優の相武紗季さん。中でもFUJI-TVは、“スペシャルキャプテン”としてダウンタウンの浜田雅功さんと、“技のデパート”として知られた元大相撲力士の舞の海修平さんを起用して、競技会場からの中継レポートに当たらせました。芸能評論家の肥留間正明さんは「真剣勝負のスポーツの世界では、ジャマ以外の何ものでもない。4年に1度の世界最高峰の競技大会である五輪に、なぜわざわざバラエティー色を持ち込むのか!?」といっておられます。「地上波民放テレビ」という回答が1票しかなかったのもそのはず。
視聴率の面でもNHKは圧勝です。
3
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【参考】開会式(8日)の視聴率は37.6%、閉会式(24日)の視聴率は25.1%。
(このデータは、ビデオリサーチが関東地区で調査したものです。)
上記のように、NIHON-TVが“民放独占生中継”した陸上・女子マラソンを除けばNHKの放送が圧倒的に高視聴率となりました。競技そのものを伝えるに徹するNHKの姿勢が、視聴者に支持されたものといえます。これに対し民放は、陸上・女子マラソン以外では、TBS-TVが“民放独占生中継”した『野球・日本VS台湾』が19.2%、FUJI-TVが放送した『柔道・男子66㎏級・女子52㎏級』(内柴選手が涙の2連覇)が、大河ドラマ『篤姫』の裏で14.8%などがあったものの、柔道の男子100㎏級・女子78㎏級で鈴木桂治・中沢ちえ両選手とも初戦敗退して、視聴率一桁となりました。中でも、今大会不振だったのが、男子サッカーと野球。男子サッカーは予選リーグで米国、ナイジェリア、オランダに3連敗、野球も準決勝で優勝した韓国に敗れ、さらに3位決定戦でも米国に敗れメダル獲得はなりませんでした。男子サッカーはオーバーエイジ(五輪男子サッカーの年齢制限は22歳以下ですが、3人以内に限り23歳以上の選手を登録できます。)をあえて使わず、全員22歳以下の選手で臨みましたが予選リーグで3連敗。9月6日から始まったW杯サッカーアジア最終予選への悪影響が心配されます。幸い、日本時間のきょう未明にバーレーンで行われた日本VSバーレーン戦は3-2で日本が勝ったものの、日本が3点リードしていながら、試合終了直前に2点を取られたのが課題となりました。野球は星野仙一監督の投手起用が裏目に出てしまい、マスコミによる星野監督たたきが強まっていました。来年3月のワールドベースボールクラシック大会の監督人選にも影響が出る可能性もあります。これらの競技は民間放送が主として放送しましたが、結果はすべて一桁。男子サッカー予選リーグ第3戦の『日本VSオランダ』は5.4%、野球の決勝戦『韓国VSキューバ』は7.6%にとどまりました。また、マラソンでも、女子の野口みずき選手と男子の大崎悟史選手が故障で“不戦敗”となり、日本陸連には“オーバートレーニング”が不戦敗の原因ではという批判も噴出しているとか。
また、スポンサーセールスも低調で、パナソニック、ロッテ、コカ・コーラ、NTTグループなどのメインスポンサー以外にこれといったスポンサーもつかず、パチンコ台メーカーが提供スポンサーになるケースも見受けられました。チベット問題など政治的な混乱が懸念されただけに、五輪特需といった売り上げにはならなかったようです。昨今の若い世代の民放テレビ離れが顕著になっている中で、各放送局とも、放送広告収入が伸びない状況が続いています。加えて、地上デジタル放送中継局の設置にも莫大な費用がかかることもあり、各放送局とも苦しい経営が続いているようです。
Q3.「平成23年7月のアナログ放送終了前に経営破綻しそうなテレビ局がどの系列から出ると思いますか?」については、
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JNN系列からという回答が3票、TXN系列からという回答が1票という結果でした。全国に地上波民放テレビ局は127局ありますが、今のところ、経営破綻しそうなテレビ局はないと思われます。しかし、米国のサブプライムローン破綻、昨今の原油価格高騰に端を発した、“第3次オイルショック”ともいえる不況によって、今後、経営破綻しそうな地方テレビ局が出てくることも予想されます。
今回の北京五輪では、金メダルの数が9個と、日本選手団が目標としていた10個にわずかに届きませんでした。民放各局が放送した注目の競技は一桁視聴率に終わり、また、スポンサーセールスも低調。これでは「NHKさん、あとはおまかせ。」と、五輪放送から手を引くのではと思われます。しかし、そういうわけにはいけません。というのも、国際五輪委員会(IOC)に払う放送権料は、回を重ねるごとに高騰しており、その額は、
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これをNHKと在京キー局5局が3:1の割合で拠出しています。191億円をNHK1局で持つことは困難なため、ジャパンコンソージアム方式をとっているためです。(これはサッカーワールドカップでも同じです)もう一つは、五輪関係の企業に広告の機会を与えることです。これが4年後のロンドン五輪では、北京より71億円も多い267億円。今度は民放各局が放送権料の負担に耐えられるかということになります。
放送権料をつり上げているのは、米国国内で独占放送権をもっている米国の4大民放テレビネットワークの1つで、このテレビ局が払った放送権料は8億9400万ドル(邦貨にすれば約957億円)。この巨額な放送権料にものをいわせ、競泳の準決勝・決勝種目を、北京時間の午前中の時間帯(北京の午前10時は米国東部時間では前日の午後10時。すなわち、北京とニューヨークは地球の反対側ということになります。)にもっていかせたといわれています。このおかげで、選手の調整にも影響が出るのですから。
広大な国土に11億人が住む中国。中国は巨額のマネーをつぎ込んで中国をアピールしてきました。しかし、五輪期間中に上海の株価は1割以上も下がりました。ポスト北京五輪の中国に、いっそうの注目が集まりそうです。
全世界でチベット問題の混乱の中でリレーされてきた聖火は、8月24日の閉会式で静かに聖火台から消えていきました。オリンピアの火は、1年半後の2010年2月、カナダのバンクーバーで再びともされます。

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コメント

はじめまして。興味深く読ませて頂きました。しかし、肥留間正明のようなC級芸能ライターの記事を権威だてて載せても信憑性が無いかと思いますよ。民放のタレント起用に文句を言っているのはマジメな一部の視聴者層に過ぎません。多くの層には受け入れられているからこそ、アテネ~トリノ~北京と、民放はタレント起用を続けているのだと思います。そして、その一部層からは過去の大会の時も、同じような意見が出ていました。民放は一部の層からの反発は承知の上でタレントを起用しているのだと思います。

投稿: beat | 2008年9月 8日 午後 12時08分

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