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2006年6月30日

あすから7月・7月から変わること

きょうは6月30日、あすは7月1日。あすの7月1日、大きく変わることが3つあります。

【たばこ税増税】
たばこ税の増税により、たばこの価格が20本入りの1箱で20円値上げされます。たばこ税の増税は2年連続。4年間で実に60円値上げされたことになります。たばこの代金に対する税の比率も約60%になります。
中でも売り上げの一番多いマイルドセブンファミリーは1箱あたり30円の値上げ。販売する日本たばこ産業では、未成年者への自動販売機による購入を防止するべく、再来年に自動販売機に年齢確認装置を装備するため、そのコストとして値上げ幅を10円上乗せするとのこと。
あすの値上げを前に全国のスーパーやコンビニではたばこの駆け込み購入が増えており、教がピークになると見られています。早いうちに売り切れになることも予想されます。
日本たばこ産業だけではなく、フィリップモリスなど外国産たばこも1箱で20円値上げされます。なお、沖縄県のみで限定販売されるうるまとバイオレットは、10円の値上げにとどまります。
ちなみに私はたばこは吸いません。

【沖縄県青少年保護育成条例改正】
青少年を健全に育成するための沖縄県青少年保護育成条例が、あす7月1日から改正されます。
平成10年以来8年ぶりとなる今回の改正では、これまでカラオケ店やアミューズメント施設に加え、インターネットカフェや漫画喫茶も新たに深夜時間帯(午後10時~翌日午前4時)の18歳未満入場制限施設に指定されます。また、いわゆるアダルトメディア(ヌード写真が掲載されている雑誌・写真集・CD・ビデオソフトなど)も、販売店においては内部を容易に見通すことができない措置が講じられた場所に陳列することや他の図書等と区分し、店内の容易に監視することができる場所に置かなくてはならなくなります。さらに、青少年がインターネットを利用する場合には、アダルト情報を閲覧できなくなるよう、フィルタリングソフトの活用の努力義務も盛り込まれます。罰則も強化され、事業者には深夜立ち入り制限の掲示が義務づけられ、立ち入りさせた場合、20万円以下の罰金、掲示を怠った場合、10万円以下の罰金が科されます。
アミューズメント施設への営業規制も盛り込まれ、とりわけメダルを使うゲーム機についてはさらに厳しい規制が課せられます。
那覇市おもろまちにあるとあるアミューズメント施設では、那覇警察署の指導による自主規制として、平日の16歳未満の青少年のメダルゲームの利用を保護者同伴に限定、また、寄り道防止の観点から学校の制服や部活着を着用した中学生・高校生メダルゲームの利用を終日禁止していますが、あすからは沖縄県青少年保護育成条例改正に伴い、18歳未満の青少年のメダルゲームの利用を平日、休日、長期休暇問わず終日、全面禁止とし(保護者同伴の場合はこの限りにあらず)、ひきつづき学校の制服や部活着を着用した中学生・高校生は保護者同伴であってもメダルゲームの利用は終日、全面禁止となります。また利用客の年齢確認のため、身分証明書(運転免許証等)の提示を求められることもあります。要するにメダルゲームはギャンブル性の高いものであり、パチンコ店並みに18歳未満の青少年の入場制限がしかれます。店では「青少年にメダルゲームをさせた場合、罰金や営業停止、最悪の場合営業許可の取り消しもあり得る。警察官も随時立ち入り調査にくる。」と危機感を抱いているようです。

【NTT西日本が“第2次構造改革”と称し再編】
以前からこのブログで予測していたように、NTT西日本があす付けで“第2次構造改革”と称してグループ会社の再編を行います。
再編の内容は、今まで営業系・総務系地域32社で行ってきた「116」「104」などテレマーケティング・人材派遣・地域ポータルサイト事業を分割型吸収分割により、営業系事業持ち株会社だったNTTマーケティングアクトに統合します。その上で残った部分を各地域毎の設備系地域会社に吸収合併し、NTT西日本を冠した地域現業子会社とします。これに先立ち、総務系地域16社は広域的・集約的な業務が効率的な業務を分割型共同新設分割により総務系広域新会社・NTTビジネスアソシエ西日本に統合します。また、県域支店の業務の大半と広域ネットワーク業務も子会社に委託となり、これに伴いNTT西日本からバブル入社組や30代近い若手を中心に、現行12,000人の約3分の2に相当する7,500人を出向させます。この結果、NTT西日本本体は7年前の会社設立時の約14分の1となる4,750人、しかもそのほとんどが京大や阪大など一流大学卒の幹部候補生となります。
ここ沖縄でもNTT-DOとNTTビジネスアソシエ沖縄を分割会社として、テレマーケティング・人材派遣・地域ポータルサイト事業をNTTマーケティングアクト九州支社那覇支店に、それ以外の個人・小規模事業所向け営業や通信設備の構築・保守、物品販売部門などの残る業務全部を新たに設置する“NTT西日本沖縄”にそれぞれ統合・承継、本日をもって、NTT-DOは14年あまり、NTTビジネスアソシエ沖縄は4年2ヶ月の歴史にそれぞれ幕を閉じることになります。中でもNTT-DOは那覇の104センターで首都圏の104業務の受託をはじめ、沖縄のコールセンター先進地化に大きく貢献していました。
NTT西日本の話によりますと、電力系事業者などと光ファイバーサービスの顧客獲得競争が激しくなったことから、申し込みから開通までの期間短縮とワンストップサービスの強化のために今回の“第2次構造改革”を行うとしていますが、今回の再編で、NTT西日本本体から約7,000人、それもバブル入社組や30代近い若手の多くが地域現業子会社に片道出向を命ぜられます。そして、「本体に戻っても仕事はない」とか「今後の業容拡大事業の中心になってもらいたい」として50歳を待たずに強制転籍させることもあり得ることになりそうです。
今後、NTTグループの中期経営戦略に基づき、NTT法の枠組みの中で再編を行うことが予定されており、NTT法の規制を受けないNTT東西の子会社同士の合併・全国1社化もあると思います。すなわち、今回西日本1社に集約されるNTTマーケティングアクトとNTTソルコ・NTT北海道テレマート・テルウェル東日本・テルウェル西日本のテレマーケティング・人材派遣事業統合や、NTT-MEとNTTネオメイトの東西の設備系広域会社の合併・全国1社化です。メタルケーブルから光ファイバーへ、通信の主役が変わる中でNTTグループのリストラ・再編は今後も続きそうです。

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2006年6月26日

遅ればせながら…デジタル時代に向けてのNHK改革にもの申す

ちょっと遅くなりましたが……竹中平蔵総務大臣の私的懇談会“通信・放送の在り方に関する懇談会”はこのほど、一連の不祥事による受信料不払い問題で揺れている公共放送“NHK”に対する改革案を答申しました。
それによりますと、その骨子は
・衛星放送は現在の3チャンネル(標準テレビ2チャンネル・ハイビジョン1チャンネル)をハイビジョン1チャンネルに減らす。
・ラジオはFMラジオを廃止する。
・不祥事が起こったスポーツ・エンターテイメント番組部門は別会社化する。
・NHKエンタープライズ社などの子会社の整理・統合。
などとなっています。ここで、私の意見を述べさせてもらいます。ここでは、平成23年7月にアナログ放送が終わったという前提で、現在の“総合デジタルテレビ”“教育デジタルテレビ”を“総合テレビ”“教育テレビ”といいます。

・衛星放送は現在の3チャンネル(標準テレビ2チャンネル・ハイビジョン1チャンネル)をハイビジョン1チャンネルに減らす。
衛星放送としては、今開催中の『2006FIFAワールドカップサッカー』をはじめ、『プロ野球』、特に阪神タイガース戦や『アメリカ大リーグ』『オリンピック』などのスポーツは大変充実し、視聴者の要望に十分応えていると思います。ただ、エンターテイメント番組については、『BS日本のうた』『名作平積み大作戦』など、衛星放送用は外部制作会社と共同制作も多く、それも“衛星第2テレビ”と“衛星ハイビジョン放送”で時間を変えたりして編成しており、これは縮小した方がいいのではと思います。とりわけ、現在W杯サッカーで休止中の双方向番組『にっぽんのマジョリティ』も、2ヶ月間も休止しており次回はW杯サッカー閉幕後の7月15日の午後9:00からで、2ヶ月間も休止するぐらいならやめるべきではと思います。
また、今年2月の『トリノオリンピック』についても、“衛星第1テレビ”と“衛星ハイビジョン放送”で同じ番組を放送しており、とりわけ“デジタル衛星ハイビジョン放送”では午後7:00~7:30の『NHKニュース7』放送中も臨時のチャンネルを使って標準画質で放送しており、これではチャンネルの無駄遣いではと感じていました。
平成23年7月のアナログ放送終了後(ただし、アナログの衛星ハイビジョン放送は来年9月終了予定)、NHKの衛星放送は、平成元年7月の本放送開始と同じように、“衛星第1テレビ”を“ワールドニュース&スポーツ”、“衛星第2テレビ”を“難視聴地域向けに地上波の番組を中心に、映画などの独自編成を3割ほど”にしてはいかがなものかと思います。いずれハイビジョン放送になることだし、マルチ放送も活用すべきではと思います。
・ラジオはFMラジオを廃止する。
「FMラジオ放送については、民間のFM放送(県域・コミュニティ)や音楽配信サービスが普及している現状では、多彩な音楽番組の提供という公共放送としての役割は既に終えたものと考えられる。」
とんでもない!パーソナリティーのトークと内外のポップス・ロックの音楽、そしてラジオショッピングやコマーシャルと、商業主義・視聴率主義というかたよりのある編成の民間放送にできないクラシックやジャズなどの番組を多く放送し、日本の文化を発信してきたNHK-FMをやめるとは!おまけにお年寄りに好評な『ラジオ深夜便』も、午前1:00~5:00はラジオ第1とFMで同時放送。FMは雑音や混信の少ないクリアな音質が売り物。NHKラジオ第1でステレオ放送されているのはこの番組だけという貴重な番組。
日本の音楽文化の発展に貢献してきたNHK-FMはやめるべきではないと思います。もし、削減するべきなら、ラジオ第2放送を廃止する、それどころか、NHKラジオはデジタル化すべきではと思います。
大手の民放が生き残りをかけて中波のステレオ放送を実施したものの技術的に失敗している中でNHKは“日本全国津々浦々くまなく放送サービスを提供する”という観点から中波のステレオ放送は行いませんでした。しかし、リスナーの間から、高校野球や大相撲などの放送をステレオで聞きたい、という要望もあります。デジタルラジオは、音楽番組だけでなく幅広いジャンルの番組もステレオで聞くことができるだけでなく、サブチャンネルで外国語のニュース番組やしゃべるスピードを落としたニュース番組、語学番組に至るまでを放送できるとして期待されています。もしやるとしたら、各都道府県(北海道は道央・道東・道北・道南の4地区制、福岡県は東部と西部の2地区制)を放送単位として、報道やスポーツなどを中心とした“デジタルラジオ第1放送”と、全国を放送単位として音楽・教育番組を中心とした“デジタルラジオ第2放送”の2波体制にしてはと思います。そして今の中波・FMの放送はテレビ同様なくなる運命に、といってもいいでしょう。むしろ中波放送は時代遅れになってきましたから。
そして今のラジオ第2放送のあり方ですが、実質的に“全国一波”。埼玉県菖蒲町の東京第2放送送信所(JOAB)以外はすべて中継局扱い(ただ放送開始・終了時と1日3回の『気象通報』終了後に各地の放送局からコールサインのアナウンスがありますが)になっている上、札幌・東京・秋田・熊本の4局が500kW出力、大阪局が300kW出力になっていることも考えれば、これらの大出力局を利用できるなら、周波数や中継局を整理して欲しいと思います。そして番組も、メインコンテンツである語学番組や高校講座も、最近はポッドキャスティングが普及しており、ポッドキャスティングによるオンデマンド配信にすればどうかと思います。また株式市況もデジタル衛星ハイビジョン放送のデータ放送で対応できます。ただ問題は船舶向けの『気象通報』をどうするかだと思います。
・不祥事が起こったスポーツ・エンターテイメント番組部門は別会社化する。
絶対反対!スポーツ番組でも『オリンピック』『高校野球』『大相撲』、エンターテイメント番組でも『連続テレビ小説』『大河ドラマ』『歌謡コンサート』『思い出のメロディー』そして大晦日恒例の『紅白歌合戦』と、NHKのシンボル的な番組がたくさんあるというのに、別会社化するとは何事か?別会社化すればそれらの存在価値が落ちてしまう。
・NHKエンタープライズ社などの子会社の整理・統合。
教育・教養番組制作を担当しているNHKエデュケーショナル社と衛星放送用のスポーツ・情報系番組制作を担当しているNHK情報ネットワーク社をNHKエンタープライズ社に吸収合併すべき。また、日本放送出版協会は、『NHK出版株式会社』に商号変更すべき。

その他、現在の教育テレビでは年に何回か、『全国高校野球選手権県域大会』(毎年7月)や『NHK全国学校音楽コンクール県域・ブロックコンクール』(毎年8~9月)などのローカルスペシャル番組が組まれますが、アナログ放送終了後は総合テレビ(適宜マルチ編成)に移行した上で、教育テレビとラジオ第2放送は東京本局のJOAB以外はすべてコールサインを廃止し中継局化することが考えられます。特にラジオ第2放送はとうの昔(昭和50年3月)にローカル放送を全廃していることから、周波数の集約と100Wクラスの小規模中継局の整理を行うべきでしょう。
また、地上波・衛星波とも時間帯によりマルチプログラム編成を考えますが、1つのチャンネルで行えるのは2番組が限界でしょう。
平成16年12月に東京教育デジタルテレビが15.5Wから700Wに増力したのを機に、教育デジタルテレビでは時間帯により平日は2番組、土曜・日曜は3番組のマルチプログラム編成を行っていますが、今年4月からは土曜・日曜に3番組放送していたのを2番組に減らしました。
デジタルテレビ放送は地上波・衛星波ともハイビジョン1番組もしくは標準画質3番組を放送できるように設計されていました。しかし、これを利用する気はほとんどありません。とりわけ民間放送にあっては、スポンサーとの関係もあってマルチプログラム編成はしにくいのが現状です。TBS系列の衛星放送“BS-i”でもかつて平日の午後の時間帯に2つのテレビショッピング番組をマルチ編成していたことがありましたが、現在は行っていません。
NHKも、総合デジタルテレビはその大半を“ハイビジョン放送”(土曜日に『プロ野球』が放送されるときは午後6:45~7:30の時間に第1チャンネルで『ニュース』、第2チャンネルで『プロ野球』を放送しています。)、教育デジタルテレビでは時間帯により“ハイビジョン放送”と“マルチプログラム編成”を行っていますが、アナログ放送終了後は地上波・衛星波問わず、この2つの放送方式を併用するかと思います。といっても、“マルチプログラム編成”は先ほども言いましたように、1波で2番組が限界だと思います。そして、走査線の数が720本の「プログレッシブハイビジョン」方式(以下“720p”といいます)でハイビジョン放送するのもよいでしょう。1つのチャンネルでフルハイビジョン“1125i”なら1番組、標準テレビ“525i”なら3番組送出できますが、“720p”なら2番組送出できます。NHKも“1125i”方式のハイビジョンを開発したとあってこれにこだわるそうですが、これにこだわらず、“720p・16:92番組” “720p・16:9+525i・4:3の組み合わせ”で送出するということを考えてはいかがでしょうか。きっとハイビジョンの高画質・高音質によるマルチプログラムを楽しめるのではと思います。
一連の不祥事で受信料収入が伸びずにゆれているNHKさんですが、デジタル放送時代の本格化に向けて、新しい放送サービスのあり方を考えてはいかがでしょうか?そうすれば、視聴者のNHKに対する信頼回復にもつながると思います。

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2006年6月23日

ZICO JAPAN, THE END.

日本時間の今朝、2006FIFAワールドカップ予選リーグF組・『日本VSブラジル』戦がドルトムントで行われ、1-4でブラジルに敗戦、ここに日本のワールドカップの挑戦は"THE END"となりました。
日本は前半、玉田選手のゴールで先制しましたが、前半終了寸前になってロナルド選手にゴールを決められ、1-1で折り返し、後半もブラジルの猛攻にあい、結局1-4で惨敗。結局1勝もできぬまま、クロアチアと引き分けた勝ち点1だけで同組最下位となり、日本にとってのドイツのワールドカップは終わりました。
思えば、12日のオーストラリア戦で、日本は先制しながら、ラスト8分間で一挙に3点も奪われるという信じがたい敗戦を喫しました。オーストラリアにとってはW杯初勝利。それがすべてだったと思います。
日本でも1994年のアジア地区最終予選の対イラン戦でロスタイムでイランに同点ゴールを決められ初出場を逃したときからサッカー、とりわけワールドカップへの関心は高まりました。ワールドカップの試合、そしてアジア予選とテレビ視聴率は40%を超えることもしばしばとなりました。
今回、ブラジル人のジーコ監督率いる日本代表チームも、2年前のアジアカップで優勝しアジアナンバー1となり、アジア地区最終予選で本大会出場一番乗りを決めましたが、いざW杯本番となると最後まで決定力不足という話もありました。
6月12日 1-3 オーストラリア
6月18日 0-0 クロアチア
6月24日 1-4 ブラジル
結局、日本から歴史的初勝利をもぎ取ったオーストラリアと、3戦全勝のブラジルが、H組から決勝トーナメントへ進出することになりました。

日本のワールドカップは終わりましたが、世界のワールドカップはまだまだ続きます。この後、負ければそれで終わりという決勝トーナメントが待っているのです。
きのうの朝、0泊2日の強行日程で成田・関西空港からドルトムントへ向かった“弾丸ツアー”のご一行様は、今夜、成田・関西空港へと帰国することになっています。成田発350名、関西発400名、総勢750名で試合の模様を直にご覧になったご一行様も今頃はどんな思いで、飛行機の中で過ごしているのでしょうか?

日本代表チームの皆さん、そしてジーコ監督、お疲れ様でした。

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2006年6月12日

大予測!NTT西日本“第2次構造改革”(その3)

(その3)『どうなる?従業員の処遇予測』
今年7月にも着手されそうになるNTT西日本の“第2次構造改革”と称する再編の結果、NTT東西グループで働く従業員の処遇を予測する前に、県域支店の事業系統のイメージをおさらいしておきましょう。
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上の図は、NTT東西各都道府県の県域業務のイメージを示しました。NTT東西本体に残れる従業員は、東日本・西日本全域・ブロック別・府県別の経営戦略・営業戦略・設備戦略など、NTT法で具備しなければならない必要最低限の業務に主として従事することになる、ごく少数の幹部候補生だけに限られます。その数は、各ブロックの事業本部が置かれる11の県域支店で事業本部のスタッフを含め60~80名程度、それ以外の県域支店で30~50名程度になります。それ以外の現業業務は、“116”や“104”などの電話受付業務は、テレマーケティング・人材派遣事業を営む全国12ブロックごとの地域会社の県域支社に、広域・集約的運用が効果的なネットワーク関連業務は北海道・北陸・四国地区を除いてNTT東西の設備系広域会社を統合して折半出資となるNTTネオメイトのブロック支社に、それ以外の営業・設備・総務などの業務は、東日本21社、西日本23社の地域現業子会社に委託されることになります。地域現業子会社はこれまで地域ごとの3つの子会社がそれぞれ行ってきた業容拡大をさらに発展させることになります。
また、全国の地域現業子会社44社のうち、北海道・宮城・埼玉・東京南・長野・愛知・北陸・大阪・広島・四国・福岡の11社は“ブロック代表会社”として位置づけ、各ブロックごとの地域現業子会社の経営戦略の企画立案の機能を持たせ、これに関わるスタッフは、NTT東西本体の地域事業本部のスタッフが、これを兼務します。
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また、NTT東西は上の図のように本体と子会社・共同出資会社との間で出向による人事交流を行い、グループ全体の活性化を図るものと見られます。地域現業子会社の社員も、東西共同出資の設備系広域会社への出向もあり得るということになります。
現場での業務に主として従事していた労働者の処遇は、以下の図のようになります。
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このように、新たにアウトソーシングの対象となる業務に主として従事している社員、およびすでに地域現業子会社に出向している社員は、年令に関係なく全員転籍となり、給与水準もすでに転籍している50代社員と同じ水準、すなわち本体在籍時の約20~30%に引き下げられます。
NTT東西本体においては、“退職・再雇用”制度による50歳以上の社員のリストラにめどをつけたものの、平成13年から3年間新規採用を凍結、今後もさらに年齢構成に歪みが生じることが予想されることから、今のうちに現時点で本体では最も多い30代後半の社員などをグループ会社に出向・転籍させることによって、本体の年齢構成を整えておこうというねらいがあります。NTT東西においてさらなる人件費の削減につながるだけでなく、“実質50歳定年制”による不満・不公平に対する批判を解消するねらいもあります。
また、年金や健康保険の問題もあります。実質50歳定年制を敷いたのは、昭和40年代の電話加入急増の時期に大量採用された、50代の年齢層が多いことと、もう一つは、50歳でNTT企業年金の受給資格が得られるからでした。また、50歳以下の社員を転籍させた場合、NTT企業年金の積み立てが終わらないまま転籍させることになり、厚生年金基金と合わせ、年金資産の移換に制限があるため、転籍の障害になるため、50歳以下の社員についてはNTT東西に在籍のまま出向という形をとらざるを得ませんでした。
しかし、バブル崩壊後、ゼロ金利政策やデフレが長引き、厚生年金基金や企業年金の運用が難しくなった上、おまけに平成13年から3年間、新規採用を凍結し、そして2度に渡る大規模な出向・転籍リストラで本体はスリム化したことから、今後も本体の新規採用は必要最小限の人数、それも幹部候補生のみにとどめることになります。そのため、今後の再編でNTT東西本体の社員数は減っても、年金の受給権者が減ることはありません。さらには今後12年間、厚生年金保険料率が毎年引き上げられ、NTT東西の人件費負担増が懸念されています。このため、NTT東西としても、本体に戻す予定のない片道出向となった社員の分まで、年金などの面倒を見る余裕は、もうなくなってきたものと見られます。
このため、NTT持ち株会社ではすでに退職したOBや、泣く泣く“退職・再雇用”に応じた子会社の社員に対し、企業年金の受給額引き下げの同意を求めました。“退職・再雇用”に応じた子会社の社員の中には、30%も賃金が引き下げられたのに、子会社退職後の年金まで引き下げられるのに抵抗して、同意に応じられない社員もいたといいます。しかし、2月10日、厚生労働省はNTT持ち株会社に対し、企業年金の受給額引き下げを認めませんでした。その理由として、次のことがあげられます。
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しかし、NTT持ち株会社は5月1日、これを不服として厚生労働省を相手に行政訴訟を起こしました。
これを受けてNTT東西では、本体に戻す予定はないとして、また業容拡大事業に専念してもらいたいとして、“バブル入社組”を中心とした中堅層や20代後半の若手にまで、現業業務に主として従事している社員を県域・地域現業子会社に転籍させようとしています。そして、すでに“退職・再雇用”となった社員を含め、厚生年金基金や企業年金からも脱退させ、確定拠出年金に加入させることになります。確定拠出年金だとNTT東西で年金の面倒を見なくてすむ、すなわち社員一人一人が運用して責任を背負わされることになります。
さらに、成果・業績主義賃金・人事制度の強化も、退職・再雇用者には大きな脅威です。NTT東西の成果・業績主義賃金・人事制度は、半年ごとにグループ従業員一人一人にチャレンジシートを書かせ、その目標達成状況に応じて上からSA・A・B・C・Dの5段階評価をつけます。今年度の場合、B・C・Dにつけば賃金を引き下げられることになります。NTT東西の中期経営計画では、今後4年間で光ファイバー・IP電話のサービス加入者を現在の約10倍以上にあたる全国3000万世帯まで増やす計画を立てています。この目標を達成するため、グループ社員一人一人に重い受注ノルマが課せられます。そのノルマが達成できなければ、またリストラに反対する抵抗勢力や企業年金の大幅減額に同意しない社員にも容赦なく最低のD評価となり、大幅な賃金引き下げとなります。社員の多くは、リストラに反対する抵抗勢力が、転籍・賃下げに応じられずNTT東西本体に残ることを選んだことにより広域配転になった上に、見せしめでD評価になったのを目の当たりにしており、退職・再雇用の受け入れはやむを得なくなるものと見られます。
そしてD評価を2期連続で食らえば退職勧告に加え、退職・再雇用に応じても“地域会社越え人事交流”で広域配転を言い渡されます。また、東西共同出資となったNTTネオメイトへの出向を通じて、東北支社から大阪本社・関西支社へ、九州支社から東京本社・関東支社へというように、NTT東西にとって懸案だった“東西越え人事交流”も考えられます。最悪の場合、富士火災海上保険のように“増加精算金制度”(52歳の社員が額面115,000円・手取り22,000円となった例)として大幅な減額を食らいます。そしてうつ病を患い最終的には自己都合退職により、NTT東西グループを去ることになります。(既にこのとき、年金資産は転籍により確定拠出年金になっており、再就職先に年金資産を持ち運んで引き続き運用することができます。)退職・再雇用に応じた場合、グループで65歳までの雇用保障はされますが、県域・地域現業子会社では本体より評価基準がさらに厳しくなるという成果・業績主義賃金・人事制度の強化のために、それは建前にしかすぎないのです。
このようにしてNTT東西は、“バブル期”入社組を中心とした中堅層や20代後半の若手への退職・再雇用の拡大と成果主義賃金・人事制度の強化により、目立たぬ形でグループ全体でのさらなる人員削減を推し進めた上で、削減した分を派遣・パート労働者などの不安定雇用労働者で置き換えようとしています。
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そして、リストラに反対する抵抗勢力を壊滅させた上で、大多数の労働組合“NTT労働組合”も、第2次世界大戦中に「身も心も全て侵略戦争に協力する」という目的でつくられた“産業報国会”に衣替えさせ、リストラや雇用条件の不利益変更、そして労働強化に耐えながら21世紀の新たな通信産業に、身も心も全てを尽くす思想をたたき込む一方、新たに抵抗勢力を組織化されたり、個人加入のユニオンに加入されないよう、正社員はもとより、派遣やパートタイマーなどグループ会社や雇用形態に関係なく、NTTグループのすべての労働者を管理・統制していく組織に変更するものになりそうです。NTTグループの労働者は、自由にものをいえないまま職務に従事しなければなりません。
新卒者の採用戦略も変わります。平成13年~15年まで、NTT東西は新卒者の採用を凍結、2次にわたる“構造改革”で11万人規模の大量出向・転籍を行った結果、NTT東西本体は大幅にスリム化されました。このため、平成19年以降、NTT東西での採用は、京大・阪大など旧帝大系を中心とした一流大学卒の幹部候補生、東西それぞれ東西共同出資関連会社への経営管理のための出向要員を含め100~150名程度にとどめ、現場での業務を行う要員については、電話受付業務についてはNTTマーケティングアクト地域会社の県域支社で、電気通信設備の保守・点検などの業務についてはブロック代表会社の下に全国11ブロックごとに設置されるサービス孫会社(例:NTTネオメイトサービス東京など)で、それぞれ派遣社員やパートタイマーとして雇用することが予想されます。すなわち、次のようなイメージとなります。
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このように、NTT東西は本体採用を国家公務員Ⅰ種のように、子会社で採用する現業労働者を非正社員というように、新規採用戦略に大きな格差をつけようと考えていることでしょう。そして…
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上のグラフのように、NTT東西本体と子会社との間で、給与や労働条件、福利厚生などで大幅な格差が生ずることになります。NTT東西は、今後の雇用戦略をごく少数のエリートと、大多数の非正社員の2層に分けようとしています。
かつて西武百貨店とともにセゾングループの中核企業だった大手スーパーの西友を傘下におさめた、世界最大の小売店チェーン、ウォルマート。“エブリデー・ロープライス”を旗印に、毎日安売りの経営方針の中、時給は日本円にして約1000円程度、各種社会保険にも加入させず、サービス残業は日常茶判事、そして労働組合の組織化を妨害するという劣悪な労働条件で、全米の労働組合から悪名高くみられているこのウォルマートのように、NTT東西の労働条件も、そして雇用社会そのものが多層化しています。
NTT東西は県域支店業務の大半のアウトソーシングという形で、雇用の多層化、いわゆる“雇用のウォルマート化”を進めることになりそうです。
4年前の“第1次構造改革”で11万人規模の大量出向・転籍を行ったNTT東西。グループ全体で14万人が従事するこの企業グループの合理化は、日本の労働史上最大級の合理化であり、産業界に大きな影響を与えました。平成13年から3年間の新卒採用凍結、そして50歳以上の社員の転籍・賃下げ。この手法が“NTT東西型”の合理化手法として産業界全体に広がりました。その後も新卒採用抑制は続き、新卒採用を増やす企業でも、石油ショック後、そしてバブル崩壊後に合理化という苦い経験をしたことから「採用予定人数の確保よりも、学生の質を優先させる。」として採用抑制していたときの人材レベルを維持する企業も多く、20代の世代は、ごく少数のエリートと、大多数のフリーター・ニートに選別・2極化され、また30代の世代も成果主義賃金・人事制度によって賃金格差・生活格差が拡大、“雇用のウォルマート化”“格差社会の拡大”という大きな社会問題に発展しました。
日本経済は、長引いた不況、そしてデフレから脱却し、景気回復の兆しが見え始めてきました。しかし、その恩恵はごく一部の富裕層しか受けられず、大多数の貧困層にとっては景気回復の実感がわいてきません。また、終戦直後に大量出産され、高度経済成長期を支えてきたいわゆる“団塊の世代”も、来年以降順次定年年齢の60歳に達し、大量に定年年齢を迎えることになることから、多くの企業で新卒採用の拡大が行われています。
しかし、通信産業はメタルケーブルから光ファイバーへ、また音声通信からデータ・映像配信へなどの流れの中で市場環境が急激に変化、最大手であるNTTグループの経営環境もまた急激に変化し、KDDIや電力系事業者などとの競争はますます激化しています。この秋には、英国の携帯電話会社、ボーダフォンの日本法人の全株式をソフトバンクが買い取り、ソフトバンク全額出資の携帯電話会社“ソフトバンクモバイル”が誕生、NTTドコモグループにとって最大のライバルが登場することになります。そんな中でNTT東西も光ファイバー通信への転換を図るべく、再編リストラに着手、その姿はNTT法で定められた枠組みを維持しつつ、現業系を中心に、分野ごとに東西事業統合が行われようとしています。その過程で、50歳以上の社員に適用されてきた退職・再雇用制度は、まもなく40代に差しかかろうとしている“バブル入社組”や若手社員にまで拡大されようとしています。
景気回復と新卒採用の拡大が広がる中で、市場環境の急激な変化の中にあるNTT東西は、これに逆行せざるをえません。小泉純一郎首相が“民間にできることは民間に”というように、NTT東西は“アウトソーシングできることは子会社に”という理念の下に、本体の業務をNTT法に基づいて行う義務的業務だけにとどめ、それ以外の業務は県域・地域現業子会社に委託、人件費をはじめとしたコスト削減に取り組んできました。そして、大規模かつ残酷なリストラを行ってきたNTT東西は、来年10月に民営化される日本郵政公社や、小泉構造改革の中で行政改革を強いられる官公庁の大規模なリストラの主導役を担っていくものと見られます。
NTT西日本の光ファイバーサービス加入者数は今年3月現在で約153万件。これを今後4年間でその10倍の約1500万件にまで増やさなければならないため、NTT西日本グループ総力を挙げた“ローラー作戦”が展開されます。イチロー選手や長澤まさみさんが出演するテレビコマーシャルの裏側で、大規模なリストラとますます厳しくなる成果主義処遇制度の中で、残酷な職場環境が展開されることは目に見えています。
平成22年、光ファイバーサービスを1500万のお客様へ………この目標に向けて、平成18年7月1日、新しいNTT西日本グループが動き出そうとしています。

【おことわり】この記事はあくまでも私的な予測であり、書いている私はNTTグループの人間ではないことをご了承ください。

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