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2006年1月29日

大予測!NTTグループ再編2006(その4)

(その4)この夏、NTT東西グループ社員の処遇はこう変わる!
昨年の11月9日にNTTグループの持ち株会社から発表された向こう3年間の中期経営計画に基づいてNTT東西の現業子会社の再編・統合が行われた場合、現場での業務に主として従事していた労働者の処遇は、どうなるのでしょうか?
(ここでは“NTTマーケティングアクトグループ”のことをNTTソルコなどとテレマーケティング・人材派遣事業を事業統合した後の企業グループとして、また“NTTネオメイトグループ”のことをNTT東日本傘下の県域現業子会社を完全子会社化し、NTT-MEを吸収合併し全国統合した後の企業グループとして取り扱います。いずれも仮称です。)
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このように再編される現業子会社に退職・再雇用される社員が中堅層や若手にまで拡大される上、処遇も今までの退職・再雇用者よりさらに厳しいものになると予想されます。
給与の最大30%引き下げが若手社員にも拡大され、ますますの士気低下が懸念されます。NTT東西では「お客様のワンストップショッピングニーズ」「受注から保守・運用までの一体化サービスの提供」「受注から開通までの納期短縮」などを今回の再編の目的としていますが、士気の低下した職場にさらに業務が増えることで、果たして顧客にきちんとしたサービスが提供できるかという懸念があります。
また、成果・業績主義賃金・人事制度の強化やNTT東西にとって最大の懸案事項だった“東西越え人事交流”制度の導入も、退職・再雇用者には大きな脅威です。NTT東西の中期経営計画では、今後4年間で光ファイバー・IP電話のサービス加入者を現在の約10倍以上にあたる全国3000万世帯まで増やす計画を立てています。この目標を達成するため、グループ社員一人一人に重い受注ノルマが課せられます。そのノルマが達成できなければ、またリストラに反対する抵抗勢力や企業年金の大幅減額に同意しない社員にも容赦なくD評価となり、大幅な賃金引き下げとなります。社員の多くは、リストラに反対する抵抗勢力が、転籍・賃下げに応じられずNTT東西本体に残ることを選んだことにより広域配転になった上に、見せしめでD評価になったのを目の当たりにしており、退職・再雇用の受け入れはやむを得なくなるものと見られます。
また、東西越え人事交流については、現在のNTTマーケティングアクトグループの九州地区の3社が40代後半の社員(全員がNTT西日本からの出向社員)約500人を関西圏・中京圏に広域配転させたことがありました。NTTマーケティングアクトは“事業持ち株会社”制を導入しているため、採算の悪い九州から需要の多いを関西圏・中京圏に人員の最適配置により、15の地域子会社すべてで売り上げが伸びなくても利益が上げられるような経営をしていました。その結果、15の地域子会社すべてで利益を出すことに成功しました。そのNTTマーケティングアクトグループは昨年の9月中間決算で、グループ全体で49億円の赤字に転落しています。しかし、新たに生まれ変わるNTTネオメイトグループでは、東京・大阪2本社制がとられるものの資本の上ではNTT東西の折半出資の持ち株会社のもとに、全国の地域現業子会社がぶらさがる構造になります。このため、大阪本社の総合企画本部に“人事戦略部”(仮称)が設置され、全国約10万人のグループ社員を一元管理して、採算の悪い東北・九州地区から東名阪3大都市圏への人員集中ができるようになるものと見られます。
D評価を2期連続で食らえば退職勧告に加え、退職・再雇用に応じても“東西越え人事交流”で全国配転を言い渡されます。最悪の場合、富士火災海上保険のように“増加精算金制度”(52歳の社員が額面115,000円・手取り22,000円となった例)として大幅な減額を食らいます。そしてうつ病を患い最終的には自己都合退職により、NTTネオメイトグループを去ることになります。(既にこのとき、年金資産は転籍により確定拠出年金になっており、再就職先に年金資産を持ち運んで引き続き運用することができます。)
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このようにしてNTT東西は、“バブル期”入社組を中心とした中堅層や20代後半の若手への退職・再雇用の拡大と成果主義賃金・人事制度の強化により、リストラに反対する抵抗勢力を壊滅させグループ全体でのさらなる人員削減を推し進めた上で、削減した分を派遣・パート労働者などの不安定雇用労働者で置き換えようとしています。そして、大多数の労働組合“NTT労働組合”も、第2次世界大戦中に「身も心も全て侵略戦争に協力する」という目的でつくられた“産業報国会”に衣替えさせ、リストラや雇用条件の不利益変更、そして労働強化に耐えながら21世紀の新たな通信産業に、身も心も全てを尽くす思想をたたき込む一方、新たに抵抗勢力を組織化されたり、個人加入のユニオンに加入されないよう、正社員はもとより、派遣やパートタイマーなどグループ会社や雇用形態に関係なく、NTTグループのすべての労働者を管理・統制していく組織に変更するものになりそうです。NTTグループの労働者は、自由にものをいえないまま職務に従事しなければなりません。
“第1次構造改革”の時には、退職・再雇用を受け入れた社員には65歳までの雇用保障や引き続き同一県内・同一職種での雇用維持に加え、厚生年金基金や健康保険組合への加入資格も引き続き付与されていました。しかし、電力系事業者などとの競争激化に加え、固定電話から光ファイバー・IP電話への変動が急速に進んだのに加え、携帯電話の競争も激化するなど、業界事情が急激に変化したことから、退職・再雇用の受け入れ時に約束したことは、反古にせざるをえなくなってきたようです。“第2次構造改革”では、“バブル期”入社組を中心とした中堅層や20代後半の若手への退職・再雇用の拡大だけでなく、長らく社員の福祉に寄与した厚生年金基金や健康保険組合の加入資格はく奪などにも踏み込んだ、非常に厳しいリストラが施されることになりそうです。“65歳までの雇用保障”は、建前にしかすぎないのです。
新卒者の採用戦略も変わります。平成13年~15年まで、NTT東西は新卒者の採用を凍結、“第1次構造改革”で11万人規模の大量出向・転籍を行った結果利益が確保されたことから平成16年4月、21世紀最初の新入社員が入社しました。その数は、NTT東日本で400名、NTT西日本で300名、採用凍結前の平成12年とほぼ同じ水準でした。しかし、今回の“第2次構造改革”でアウトソーシングの対象範囲が拡大されることから、平成19年以降、NTT東西での採用は大卒の幹部候補生、東西それぞれ100~150名程度にとどめ、現場での業務を行う要員については、電話受付業務についてはNTTマーケティングアクト地域会社の県域支店で、電気通信設備の保守・点検などの業務についてはNTTネオメイトグループ地域会社の下に全国12ブロックごとに設置されるサービス孫会社(例:NTTネオメイトサービス東京など)で、それぞれ派遣社員やパートタイマーとして雇用することが予想されます。
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平成7年に当時の日経連(現在の日本経団連)が取りまとめた“新時代の『日本型経営』”では、労働者の雇用形態を長期蓄積能力活用型、高度専門能力活用型、雇用柔軟型の3つのグループに分けて雇用管理していくとしました。これをNTT東西にあてはめると、下の表のようになります。
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“第1次構造改革”後、政府も労働法制の改正に乗り出し、派遣労働の派遣期間も最大3年まで、有期契約社員の労働契約期間も最長5年まで延長できるようになりました。また、裁量労働制・成果主義賃金・人事制度の拡充がしやすくなりました。かつて西武百貨店とともにセゾングループの中核企業だった大手スーパーの西友を傘下におさめた、世界最大の小売店チェーン、ウォルマート。“エブリデー・ロープライス”を旗印に、毎日安売りの経営方針の中、時給は日本円にして約1000円程度、各種社会保険にも加入させず、サービス残業は日常茶判事、そして労働組合の組織化を妨害するという劣悪な労働条件で、全米の労働組合から悪名高くみられているこのウォルマートのように、NTT東西の労働条件も、そして雇用社会そのものが多層化しています。
このように、NTT東西は県域支店業務の大半のアウトソーシングという形で、雇用の多層化、いわゆる“雇用のウォルマート化”を進めることになりそうです。
このようにして、“第2次構造改革”後のNTT東西とそのグループ会社の姿は、次のようになります。
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NTT東西本体は、NTT法に基づいて事業を行う上で必要な業務や、顧客情報の管理、料金法的措置、全国型・ブロック型代理店戦略の立案・展開・対応、派遣社員・請負社員の指揮・監督業務など必要最小限の部署が残ります。平成11年7月のNTTグループ分割・再編による発足時、NTT東日本で約68,000人、NTT西日本で約65,000人いた従業員は、今年7月の新体制発足時にはNTT東日本で約7,000人、NTT西日本で約6,000人、7年間で約10分の1前後にまで減ることになります。
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NTTマーケティングアクトグループは、NTTグループで分散していたテレマーケティング・人材派遣事業を集約して全国1グループになります。東京・大阪2本社制をしく事業持ち株会社のもとに、東京本社管内6社、大阪本社管内6社の計12社の地域会社を置き、さらにその下に県域支店(北海道・東京都・愛知県・大阪府・福岡県は複数支店を設置)を置きます。事業持ち株会社は全国の大口ユーザー相手の営業と、NTTネオメイトから承継するIPコールセンター構築事業を、地域会社は各ブロックごとの大口ユーザー相手の営業と派遣スタッフの研修業務を担当します。派遣スタッフやパートタイマーは県域支店と雇用契約を結びます。労働条件は各県の地場相場による時給制賃金が適用され、週30時間以上働くパートタイマーとフルタイムの派遣スタッフにのみ社会保険が適用されます。
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NTTネオメイトグループは、現在のNTTネオメイトとNTT東日本傘下のNTT-MEが合併した事業持ち株会社のもとでNTT東西の現業業務を受託する企業グループになります。こちらも東京・大阪2本社制をしく事業持ち株会社のもとに、東京本社管内21社、大阪本社管内22社の計43社の地域会社を置き、さらにその下に全国12ブロックごとにサービス孫会社を置きます。事業持ち株会社は、NTT東西から広域的・集約的な運営が効率的なネットワーク系業務を受託します。このため、東京本社のもとに関東・甲信越・東北支社を、大阪本社のもとに東海・中国・九州支社を置きます。なお、北海道地区はNTTネオメイト北海道(NTT東日本北海道から社名変更)が、北陸地区はNTTネオメイト北陸が、四国地区はNTTネオメイト四国がそれぞれ担当します。また、これまでNTT-ME、NTTマーケティングアクト、NTTネオメイトが取り組んできた、ITソリューション事業などの業容拡大業務に加え、これまでNTT東西が“サザンクロス”ブランドで展開していたOEM生産パソコンをはじめとする通信機器の製造・販売事業や、テルウェル東日本、テルウェル西日本のITソリューション事業部門も営業譲渡により新生NTTネオメイトグループに集約します。
傘下の地域会社は、NTT東西の地域支店から業務の大半を受託し、事業持ち株会社のもとにこれまで地域会社で行ってきた業容拡大業務をさらに推進、光ファイバーサービスを平成22年までに現在の約10倍以上にあたる全国3000万世帯への加入という目標へ向け販売活動を行うことになります。来年以降続出する退職者の補充については、ブロックごとのサービス孫会社で有期契約雇用により雇用し、地域会社に派遣することで補充することになります。
4年前の“第1次構造改革”で11万人規模の大量出向・転籍を行ったNTT東西。グループ全体で14万人が従事するこの企業グループの合理化は、日本の労働史上最大級の合理化であり、は産業界に大きな影響を与えました。平成13年から3年間の新卒採用凍結、そして50歳以上の社員の転籍・賃下げ。この手法が“NTT東西型”の合理化手法として産業界全体に広がりました。その後も新卒採用抑制は続き、20代の世代は、ごく少数のエリートと、大多数のフリーター、そしてニートを生み出し、“雇用のウォルマート化”という大きな社会問題に発展しました。
日本経済は、長引いた不況、そしてデフレから脱却し、景気回復の兆しが見え始めてきました。しかし、その恩恵はごく一部の富裕層しか受けられず、大多数の貧困層にとっては景気回復の実感がわいてきません。また、終戦直後に大量出産され、高度経済成長期を支えてきたいわゆる“団塊の世代”も、来年以降順次定年年齢の60歳に達し、大量に定年年齢を迎えることになることから、多くの企業で新卒採用の拡大が行われています。
しかし、通信産業はメタルケーブルから光ファイバーへ、また音声通信からデータ・映像配信へなどの流れの中で市場環境が急激に変化、最大手であるNTTグループの経営環境もまた急激に変化し、KDDIや電力系事業者などとの競争はますます激化しています。そんな中でNTT東西も光ファイバー通信への転換を図るべく、再編リストラに着手、その姿はNTT法で定められた枠組みを維持しつつ、現業系を中心に、分野ごとに東西事業統合が行われようとしています。その過程で、50歳以上の社員に適用されてきた退職・再雇用制度は、まもなく40代に差しかかろうとしている“バブル入社組”や若手社員にまで拡大されようとしています。
景気回復と新卒採用の拡大が広がる中で、市場環境の急激な変化の中にあるNTT東西は、これに逆行せざるをえません。そして、リストラのターゲットは、来年10月に民営化される日本郵政公社や、小泉構造改革の中で行政改革を強いられる官公庁へと向けられようとしています。

4回にわたりNTT東西を中心に、NTTグループ再編を予測してきましたが、この記事を執筆している間に、NTT西日本が新たなグループ体制についての再編案を労働組合に提案してきました。その内容とは、営業系・設備系・総務系の3業種、そして西日本16地域別の業務子会社の全株式をNTT西日本が買い取った上で、3業種の子会社を地域別に1社にすることや、3業種ごとの広域系広域子会社を設立することなどでした。次回は(番外編)「NTT西日本の再編予測」として、(その2)設備・営業系グループの予測を修正した形で、改めて予測していきます。

【おことわり】この記事はあくまでも私的な予測であり、書いている私はNTTグループの人間ではないことをご了承ください。

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2006年1月 8日

大予測!NTTグループ再編2006(その3)

(その3)どうなる?アウトソーシング会社従業員の今後の処遇
昨年の11月9日、NTTグループの持ち株会社は、向こう3年間の中期経営計画を発表しました。
その内容は、光ファイバー、IP電話の普及と競争激化を背景に、光ファイバー・IP電話を昨年6月現在230万世帯から平成22年までに3000万世帯に普及させることや、既存の電話網に代わるIP通信網の構築を東西地域会社とNTTドコモに集約、また、ポータルサイト「goo」を運営するNTTレゾナントや、NTT東の子会社でインターネット事業を手がける「ぷららネットワークス」、大企業向けサービスなどをNTTコミュニケーションズに統合し、効率化を図ろうというものです。これに対して、競争相手のKDDIやソフトバンクなどからは「独占回帰になるのでは」と批判の声が上がっています。
光ファイバー・IP電話サービスを今後4年間で今の10倍以上の3000万世帯に…この目標を達成するためには、お客様が求めているサービスの迅速な提供体制を構築する必要があります。それが、(その1)(その2)で予測した地域子会社の再編です。
すでにNTT東日本では昨年7月にサービス・設備・総務の3業態に分かれていた県域子会社3社を統合した上で県域支店の法人向け営業についても統合した現業子会社に移管、また本社のエンジニアリングセンタ、ネットワークオペレーションセンタ、ビジネスサービスセンタの設備系3センタの業務をNTT-MEに移管、NTT東日本本体から6000人を出向させました。その多くは、昭和63年~平成4年のいわゆる“バブル期”に入社した社員や、その後に入社した若手です。50代の中高年社員の退職・再雇用リストラにめどをつけた後には、中堅・若手にもリストラの波が打ち寄せてきました。
経済ジャーナリストの松崎隆司さんは、日経BP社のコラムでこう書いています。
「NTT東西の退職・再雇用リストラで現場の士気は低下した。」
さらにNTT東日本社員の話として、
「同じ仕事をしているのに、賃金は以前の3割減。しかも50歳以下の若い社員が高い給与で出向してきている。年配者は仕事をやる気を失い、若い社員に押し付ける。このため若い社員が辞めていくといったことも頻繁に起きている。既にNTT東日本では県域現業子会社の統合が行われ、支店から営業関連業務が移管され、地域会社の仕事がこれまで以上に忙しくなった。士気が低下しているところに仕事が増えれば、業務の質が下がることは想像に難くない。」
としています。
今年はNTT西日本でも、このような再編合理化が行われることが予想されます。
これらの再編は今年7月に行われることが予定され、松崎さんは「果たして、きちんとしたサービスができるのだろうか?」と懸念しています。
さらに松崎さんはNTTグループ関係者の話として、「NTTグループでは成果業績主義が導入されている。これは、実際のところは、総人件費を現在の70%程度に抑えるのが目的だと言われている。A~Dまでの評価のうち、CやDを取ると大幅な給与カットとなる。これが来年あたりからさらに厳しくなり、CやDの評価を受ける者が全体の50%になるようだ。CやDの評価が増えれば、社員の士気がさらに低下するのは目に見えている」。といっています。
平成14年5月のNTT東西の“第1次構造改革”により、NTT東西は2社の従業員約11万人を対象とする、子会社への出向・転籍を行い、これにより、NTT東西で多数を占める51歳以上の社員のほとんどは、一旦NTT東西を退職して子会社に再雇用され、賃金もNTT東西在籍時の15~30%に引き下げられました。また、50歳以下の社員についても、アウトソーシング対象の業務に主として従事していた社員は、NTT東西の賃金水準のまま片道出向となっています。
“第1次構造改革”から3年半が経過した今、通信事情も急激に変わり、メタルケーブルから光ファイバー・IP電話へと主役が変わっています。加えて来年以降、ソフトバンクグループなどが新たに携帯電話事業に参入することで、グループの稼ぎ頭である携帯電話事業も競争激化が予想されます。このためNTTグループでは、これまでのグループ各社の事業を再編・整理し、グループの結束強化を図ることが必要不可欠といわれており、NTT東西の現業子会社の役割も“テレマーケティング・人材派遣部門”と設備・営業などの“現業部門”に再編するのもその一環だと考えます。
また、経営環境の急激な変化とともに、年金や健康保険の問題もあります。
実質50歳定年制を敷いたのは、昭和40年代の電話加入急増の時期に大量採用された、50代の年齢層が多いことと、もう一つは、50歳でNTT企業年金の受給資格が得られるからでした。また、50歳以下の社員を転籍させた場合、NTT企業年金の積み立てが終わらないまま転籍させることになり、厚生年金基金と合わせ、年金資産の移換に制限があるため、転籍の障害になるため、50歳以下の社員についてはNTT東西に在籍のまま出向という形をとらざるを得ませんでした。
しかし、バブル崩壊後、ゼロ金利政策やデフレが長引き、厚生年金基金や企業年金の運用が難しくなった上、おまけに平成13年から3年間、新規採用を凍結し、そして“第1次構造改革”による大規模な出向・転籍リストラで本体はスリム化したことから、今後も本体の新規採用は必要最小限の人数、それも幹部候補生のみにとどめることになります。そのため、今後の再編でNTT東西本体の社員数は減っても、年金の受給権者が減ることはありません。さらには今後12年間、厚生年金保険料率が毎年引き上げられ、NTT東西の人件費負担増が懸念されています。このため、NTT東西としても、本体に戻す予定のない片道出向となった社員の分まで、年金などの面倒を見る余裕は、もうなくなってきたものと見られます。
このため、NTT持ち株会社では、グループ従業員の企業年金をそれまでの規約型からキャッシュバランスプランに切り替えました。そして、既に受給している退職者、およびNTT東西からアウトソーシング会社に転籍した社員(このとき企業年金の受給権を得ています)についても、受給年金額の引き下げ同意を求めました。
しかし、転籍・賃金引き下げを受け入れた社員にとって、退職後の年金まで引き下げに応じられるはずはありません。それでも、会社や労働組合は、OBやテレマーケティング子会社などを使い、「応じなければ企業年金はつぶれる」として、同意を強要しました。
さらに、50歳以上の中高年の退職・再雇用に気をとられ、10年前から産業界で行われている“バブル期”入社組や使えない若手社員のリストラが遅れているという指摘もあり、このため、NTT東西では現在アウトソーシング会社に出向扱いになっている50歳以下の社員についても、本体に戻す予定はないとして、51歳になるのを待たずに出向先の会社に転籍させ、賃金も転籍先の水準に合わせて引き下げる措置を考えているはずです。NTT東西においてさらなる人件費の削減につながるだけでなく、“実質50歳定年制”による不満・不公平に対する批判を解消するねらいもあります。そして、転籍と同時に、厚生年金基金と企業年金からも脱退し、転籍先が設置する連合型確定拠出年金に加入させようかと考えています。確定拠出年金は転籍先にも持ち運べるし、勤続年数による不利益などもありません。それゆえ転籍の障害になることもありません。その代わり、年金資産の運用は本人の責任にかかっています。効率よく運用しなければ、60歳から受ける年金収入に影響することになります。
NTT東西は、“実質50歳定年・退職・再雇用制”を実質的な“会社分割”に相当する“アウトソーシング会社への出向者全員転籍”に広げ、人件費と年金の問題を一気に解決しようと考えているようです。これらの第2次のリストラに際し、NTTグループの関係各社は、同グループを所轄する竹中平蔵総務大臣に対し、産業再生法の適用申請を検討しています。また、川崎五郎厚生労働大臣に対しても、「今の法律では会社分割にだけ適用されており、営業譲渡や業務委託などには適用されず、また労働条件の切り下げができないのでは不十分だ。」として、営業譲渡や業務委託の場合でも本人の同意なしで強制転籍させることができるよう、また最大30%の賃金切り下げができるよう、近く開会する通常国会に労働契約承継法の改正案を提出するよう要請しているとも見られます。郵政事業の民営化が焦点となった昨年9月の衆議院総選挙で、労働組合を支持基盤にしている民主党議員をはじめ、郵政民営化に反対している抵抗勢力を相次いで落選させ、自民党と公明党の与党が全480議席の3分の2を占めいているだけに、NTTグループの幹部にとっては絶好のチャンスなのです。

NTT東西などの満50歳以上の社員に続き、“バブル期”入社組や若手社員にも、転籍、そして賃金30%引き下げ、そしてさらに厳しくなる成果主義賃金・人事制度による幹部候補と現業部門への振り分け、そして低賃金雇用の有効活用……果たしてNTT東西の人間に、どのような2006年が待ち受けているのでしょうか?次回、(その4)『この夏、NTT東西グループ社員の処遇はこう変わる!』で、NTT東西グループ社員の運命が明らかになります。

【おことわり】この記事はあくまでも私的な予測であり、書いている私はNTTグループの人間ではないことをご了承ください。

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2006年1月 2日

紅白視聴率の上昇は、みのもんたではなく、SMAPのおかげ。

昨年の大晦日に放送された『第56回NHK紅白歌合戦』の視聴率がビデオリサーチから速報されました。関東地区での視聴率は、午後7:20~9:25の第1部で35.4%、午後9:30~11:45の第2部で42.9%でした。一昨年より若干上がりました。
長期低落傾向の紅白の視聴率が一、二部とも前年を上回ったのは平成10年以来7年ぶり。一連の不祥事を受けた改革路線を示すため、視聴者から聴きたい曲を募集、民放で人気の司会者みのもんたを起用したことなどが功を奏したようです。
三が日明けに歌手別の視聴率が出るのを待たなければはっきりしたことは言えませんが、みのもんたよりも、SMAPのおかげではないか、という話もあるようです。一昨年の第2部で40%割れを喫したのは、SMAPが歌手活動をしていないことを理由に出場辞退したり、一連の不祥事による影響でした。
年明け後、スポーツ新聞からポータルサイトに配信されるニュースや、視聴者が書くブログを見たところ、みのもんた司会起用に対する批判が多いようです。
「全国津々浦々のみなさま、おまたせいたしました!」という言葉で始まった紅白でしたが、ディレクターから「早くしろ」といういわゆる“巻き”が頻繁に入り、ついには美川憲一さんのところで曲紹介なしでいったり(これで美川さんは「みのさんがしゃべり過ぎたせい」と噛みつきました)、中島美嘉さんの歌が完全に終わらないうちに、次の北島三郎さんの『風雪ながれ旅』のイントロが流れるというアクシデントがあったりでした。番組は、アドリブを入れながら相手との真剣勝負を引き出したいという、みのの司会哲学と、歌を大切にするコンセプトで行くというNHK芸能番組のディレクター陣とのバトルとなりました。「新しい年が、素晴らしい年になりますように。」と、番組を終了した後、みのもんたさんは、「10%の出来だった。90%は心残り。もちろん大不満です。」とぶちまけました。
『紅白歌合戦』は歌を通して国民の皆さんに明くる年の希望を伝える番組というコンセプトをみのもんたさんは理解していたのでしょうか。番組プロデューサーが趣旨を十分説明しても、民放の長時間生放送で鍛えたみのもんた流の司会のやり方に隔たりがあったことは反省しなければなりません。ただ、アナウンス室長の山根基世アナウンサーさんのフォローがあったのがよかったと思いますが。私としては、
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といわざるをえません。(上記画像の著作権はNHKにあります)むしろ総合司会を局アナにして紅組の司会に仲間由紀恵さん、白組の司会に山本耕史さんが一番よかったと思います。
また、こんな数字もあります。『紅白歌合戦』では、デジタルテレビ審査員といって、衛星ハイビジョン放送とデジタル総合テレビを見ている人なら、誰でも審査に参加できるという制度があります。それに参加した人が、一昨年7万人だったのが、昨年は42,000人にとどまりました。『紅白歌合戦』の審査では、NHKホールの観客3,000人、携帯電話での審査10,000人、そして人数無制限のこのデジタルテレビ審査員、1人1票の平等な審査で勝敗が決まりました。デジタルテレビ審査員が42,000人と多く、勝敗を決める要素が大きかったのでした。結局、合計票数の表示を待たずに、白組の勝利が決まってしまいました。結果の詳細は、こちらをご覧ください。
前回より視聴率が回復した『紅白歌合戦』でしたが、NHKの芸能番組担当スタッフの皆さんには、これからも『歌謡コンサート』など通常の番組で、多くの国民に信頼される番組作りにいっそうの努力を重ねていただきますようお願いします。

「信頼回復への戦いは、まだまだつづく。」

追伸:倖田さんには「受信料払ってね」というコメントぐらいほしかった。

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2006年1月 1日

2年目のスタートも『紅白』の感想から

あけましておめでとうございます。昨年の元日にスタートしたこの『K’s COCOLOG』、おかげさまで1周年を迎えました。今年もよろしくお願いします。
さて、きのう放送された『第56回NHK紅白歌合戦』、審査員としてココログでもおなじみの眞鍋かをりさんが出演していましたが、ご覧になりましたか?
昨年の『紅白歌合戦』は、まず例年は若手を起用していた(昨年は紅組が上戸彩さんでした)トップバッターに、細川たかしさんと川中美幸さんの両ベテラン演歌歌手を起用。目玉企画だったスキウタアンケートをもとに26曲が歌われました。その1位は、「世界に一つだけの花」。午後9:30からの第2部オープニングで、SMAPと出場者全員が大合唱しました。その直後に、今年ブレークした倖田来未さん、そして沖縄出身のD-51が配置されました。「SMAP+人気歌手」の図式を切り札にしたようでした。その倖田さんは、『Butterfly』で第47回日本レコード大賞を受賞しました。『紅白歌合戦』でもこの話題が出ました。レコード大賞の話題が出たのは16年ぶりかな。
もう1つの目玉企画は、戦後の日本を象徴するヒット歌謡曲11曲を、年代順に出場者たちに歌ってもらうというものです。松浦亜弥ちゃんの『東京ブギウギ』に始まり、ここでも最後はSMAPに今年の話題曲だった「恋のマイアヒ」を歌わせました。この直後に小林幸子さんの出番があるということから、名物企画が出る前に盛り上げようというNHKさんのねらいもありました。
そして大トリはやはりSMAP。やはり若い女性に人気があるというのが大トリ起用というところでしょうか?
平成になってから、世代間での音楽嗜好も多様化してきました。その上に近年では民放各局が紅白の裏番組に『K1 Dynamite!』『PRIDE 男祭り』といった格闘技番組をぶつけられた上に、80年代まで70%を超えた視聴率も、2004年には39%にまで落ち込みました。そして、平成11年、西暦2000年を前にした『第50回紅白歌合戦』では、担当していたプロデューサーがバンドに巨額の裏金を渡したという不正経理事件も起きました。そして一連のお金に関する不祥事で、受信料を払っている視聴者の不信も多くなってきました。
こうした中で、昨年の『紅白歌合戦』では、視聴者の皆さんから『紅白歌合戦』で聴きたい歌を伺う“スキウタアンケート”を実施、約150万件の応募から、26曲が選ばれました。
司会者には、民放の番組で実績のあるみのもんたさんと、NHKのアナウンス室長を務め、全国に500人いるアナウンサーの頂点に立つ山根基世さん、女優の仲間由紀恵さんと男優の山本耕史さんを起用しました。しかも、今までの紅組・白組別の司会ではありません。
曲順や番組構成の発表も放送前日まで遅らせました。「民放各局は、紅白のプログラムを見てCMを入れる時間などを決めるのではないか。ギリギリまで(視聴率を)争いたいという思いがある」と説明しています。
出場歌手からも不満が出ました。今年白組から出場した和田アキ子さんは、「松任谷由実さんが上海からの出演では不公平だ」と不満を漏らしています。
審査方法も変わりました。10名の特別審査員、全国50万通を超える応募者から選ばれた3000人の観客、携帯電話を通じて参加する携帯審査員1万人、そしてデジタルテレビ視聴者約3万人により、紅組・白組の勝敗が決まりました。まさに、NHKが番組の評価を視聴者に問おうという姿勢でした。私は白組に投票し、その白組が勝ちました。
司会のみのもんたさんのアドリブぶりで番組の進行にも影響が出るかと心配されましたが、『蛍の光』を歌った後、みのさんが「新しい年が、素晴らしい一年になりますように。」といって番組が終わったときには、無事終わったという感じがしました。
一昨年の紅白終了後、1月25日、NHKホールでの『NHK歌謡コンサート』で、紅白で着用する予定だった幻の豪華衣装に身を包んだ小林幸子さんが『いそしぎ』を歌っていたそのころ、紅白で勝った紅組の司会者・小野文恵さんに優勝旗を渡した関根放送総局長と海老沢勝二会長は辞任しました。そして、橋本元一会長が就任しました。その橋本会長になっての最初の紅白、制作スタッフの皆さんには、大晦日の夜を家族だんだんで楽しんでもらおうと、苦労されたそうですが、視聴者の声は、白組にがい歌をあげました。注目の視聴率は、あす2日に発表される予定です。

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