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2005年2月 5日

NTTグループが定昇廃止、成果主義へ完全移行へ。

朝日新聞によりますと、NTTグループが平成18年度から、社員給与のうち、勤続年数に応じて上がる年齢給を全面的に廃止し、成果主義賃金へ完全移行することをNTT労働組合に提示したことが明らかになりました。
管理職ではすでに廃止されていますが、全社員に拡大されます。同時に、配偶者や子供がいる社員に支給する扶養手当(例えば配偶者と子供1人がいる場合、約25,000円)も全廃し、能力・成果主義を徹底させます。対象となるのは、NTT東日本、西日本、NTTドコモなどグループの国内計約400社で、管理職以外の一般社員約18万人にのぼります。当然、3年前の平成14年5月に行われた、NTT東西の11万人規模の退職・再雇用リストラ(以下「先の構造改革リストラ」と言います)の憂き目を見た地域子会社100社の社員も対象です。今年の春闘が終わった後、労働組合と本格的な調整に入りますが、NTT労組は「評価制度の見直しが先」として、今のところ交渉を受け入れていません。
年齢給を巡っては、トヨタ自動車や松下電器産業が全廃を決めていますが、大人数を抱えるNTTグループが廃止すれば、産業界での同様の動きが加速しそうです。

NTTグループが定昇を廃止して成果主義へ完全移行する背景には、最大のライバルであるKDDIやソフトバンクグループ、平成電電などが、基本料金の安い固定電話に進出したことから、NTT東西が基本料金の値下げを余儀なくされたことや、NTT東西がグループ全体を挙げて拡売に力を入れているブロードバンド事業についても、KDDIやソフトバンクグループをはじめ、電力系との競争が激しくなり、グループ全体での経営環境が悪化したというのがあります。
また、年金の問題も深刻です。NTTの企業年金“税制適格年金”は、先の構造改革リストラで、78,000人の加入者が退職・再雇用による地域子会社への転籍で加入者が大幅に減った上、超低金利政策の長期化よって運営が悪化してきました。さらにはNTT東西で平成13年度から3年間、新卒採用を取り止めた上、先の構造改革リストラで組織がスリム化されたことから今後、NTT東西本体では大卒幹部候補の必要最小限(東西それぞれ100~150人程度)にとどめ、その他の現業スタッフは地域子会社で有期契約・派遣・パートとして採用するものと予想されることから、加入者は大幅に減っても、受給者は増える一方になります。51歳以上の社員が転籍となったのは、50歳でNTT企業年金の受給権が得られるという理由でした。設備の保守・点検などアウトソーシングの対象となる社員全員を転籍させると、50歳以下の社員が企業年金の受給権が得られなくなるため、50歳以下の社員についてはNTT東西に在籍のまま出向という形を取っていました。おまけに昨年の年金制度改革により今後15年間、厚生年金保険料が毎年段階的に引き上げられるため、さらなる人件費負担の重荷にもなり兼ねなくなりました。
このため、NTT持ち株会社では、企業年金を国債利回りに連動して年金受取額が変わるというキャッシュバランスプランに変更しました。またすでにNTTグループを退職して企業年金をもらっているOBや、先の構造改革リストラで退職・再雇用に応じて地域子会社に転籍した社員に対しては、年金額を減額することで、現在会社と労働組合が該当者に対し、企業年金制度の維持のため引き下げ同意書の送付と引き下げへの理解を求めていますが、先の構造改革リストラで賃金を3割も引き下げられた上に退職後の年金まで切り下げられ、おまけにもし全受給対象者の3分の2の同意で引き下げが実施されればたちまち産業界全体に広がるおそれがあるとあって、地域子会社に転籍した社員にとっては到底同意できるものではなく、3分の2の同意が得られるのは難しい情勢です。
また、厚生年金基金についても事情は同じで、長引く超低金利などで運用環境は厳しい上、年金資産の移換に制限があるというのが50歳以下の社員の地域子会社への転籍の障害となっています。超低金利やリストラなどにより多くの企業が厚生年金基金を解散、確定拠出年金へ移行するという中で、NTTの厚生年金基金も岐路に立たされています。
NTT東西では昭和40年代半ばの電話取付需要が旺盛だったときに大量採用された世代が高齢になり、その一方でバブル崩壊後は採用を抑制、とりわけ平成13年度から3年間、新卒採用を取り止めました。そして先の構造改革リストラで50代社員の退職・再雇用をやっても、年齢構成がさらにいびつになりました。固定電話はもとより、光ファイバーなどのブロードバンドでも競争が激しくなった今、NTT東西にとっては、将来本体に戻す予定のない、地域子会社に在籍出向している社員の面倒まで見る余裕は、もうなくなってきたようです。

NTTグループでは成果主義に完全に移行することで社員の能力をより引き出せる賃金体系にし、通信業界の競争激化に対応したいという考えですが、直属上司の好き嫌いで社員の評価が恣意的に下げられるという懸念もあります。また、先の構造改革リストラで50歳以上の社員のリストラに目処をつけたことから、平成12年までにに入社した社員について、幹部候補の内部選抜を行い、選抜から漏れた社員を早い段階で地域子会社へ転籍させ、さらには3年前のNTTグループのリストラ政策に反対する抵抗勢力を徹底的に排除するとともに、NTTグループ社員の大半が加盟するNTT労働組合についても、年齢給の全廃で定期昇給が廃止になり、非正社員雇用の増大で組合員数が減ることから、労働組合としての力を弱め、労働組合の解体・産業報国会への衣替えに追い込むなどのねらいもあります。
すでに現場では、51歳の時の雇用形態選択で“60歳定年の満了型”を選んでNTT東西に残り広域配転を受け入れた社員に対して、見せしめ的に“D評価”という最低の評価が乱発され、賃金の引き下げが行われたといいます。また、先の構造改革リストラで人が減った分、1人当たりの労働量が増え、過酷な労働環境が蔓延しているといいます。さらにはリストラ・賃金切り下げによりやる気を失った従業員や、月100時間以上のサービス残業で精神的にもうつ病にかかり、自殺者まで続出しているそうです。
競争激化でさらなる業績悪化が懸念される中で、成果主義賃金への完全移行が実現されますと、さらなる労働強化や重い販売ノルマの強要、がんばったにもかかわらず別の何らかの理由を付けての賃金切り下げなど、労働者の更なる不利益や、労働強化・賃金切り下げによる労働者の士気低下も懸念されています。そして、その影響は、グループ全体で18万人を超える大所帯であるだけに、産業界全体にまで広がることは避けられません。
成果主義処遇制度による年俸制賃金・賃下げ・裁量労働制・長時間のサービス残業・過労死…真綿とパワーハラスメントで首を絞める殺伐とした労働環境が、NTTグループの職場を襲い、そして日本の職場に蔓延することが、現実のものになりそうです。

そしてNTTグループも、先の構造改革リストラで発足した地域子会社を中心に、グループ会社の再編への動きが出てきました。これについては日を改めてお話しします。

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コメント

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投稿: acheter accutane France | 2020年4月28日 午後 08時51分

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